ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.11.15 もみじ紀行~高雄、嵯峨釈迦堂と化野念仏寺を訪ねて

2015-11-15 22:56:00 | 
 今日は息子も一緒に一日、定期観光バスツアーで紅葉巡り。ゆっくり起きて浴槽足湯も愉しみ、朝食を済ませてから息子と待ち合わせた。
 心配したお天気は、雲の合間から青空が見えてきて、まずまずの気配。義母の三回忌以来2か月ぶりに逢った息子は「どこか変わっているの気が付かない?」と言う。ヘアスタイルが変わったのは分かったけれど、「?」。
 「髪の毛、染めたんだよね」と言う。確かに陽が差すと、栗色に光っている。真っ黒な硬い髪だったのに、シャギーも入れて軽くなった感じ。部活の名刺をくれたり、まあ、お洒落もいいけれど、学業もしっかりね、とついついお小言を言いたくなる。

 今日最初に目指すは、静かな山合いに古刹が佇む高雄の地。市内より2,3度気温が低い所為か、既に紅葉は盛りを過ぎた、というよりもう終わってしまっているというガイドさんのお話にちょっとがっかり。バスを降りると、ポツポツと小雨が降っている。
 栂尾山・高山寺から散策スタート。21年前に世界文化遺産に登録されたこのお寺は、鎌倉時代に再建したものだそうだ。学問所だったという国宝・石水院に入ると、可愛らしい善財童人像が迎えてくれる。日本史の教科書でお馴染みだけれど、このポーズはどう見てもヨガの捻りのポーズではないかと思ってしまう。
 4巻からなる鳥羽僧正作「鳥獣人物戯画」は残念ながらレプリカで、オリジナルは東京と京都の国立博物館に2巻ずつ貯蔵されているという。兎や蛙、猿の剽軽な姿についつい笑みがこぼれる。
 雨はあがったが、紅葉の落ち葉で滑りそうで足元が悪い。裏参道の濡れた石段にはかなり緊張してカニさん歩きになる。ここでコケたら洒落にもならない。
 日本最古と伝わる茶園を越えて、開山堂、金堂まで登ると、早くも息切れ。ようやく上り切ったら今度は下りの石段だ。下りの方がもっと怖い。早くも膝が笑ってくるのが分かるが、パンフレットの表紙にもなっている、表参道の菱形をした踏み石のフォトスポットは外せない。既に紅葉は落ち、地面は赤い絨毯で覆われている。

 この後、昼食処のマイクロバスのお迎えで、早めのランチタイム。湯豆腐や刺身こんにゃく等、上品で紅葉や銀杏を形どった目にも鮮やかな紅葉弁当に舌鼓。昼食後は1時間半近い自由散策時間だが、400段もの石段を登らないと辿り着かないという高雄山・神護寺はさすがに身の程知らずだろうと最初から諦め、神護寺別院として建立された槇尾山・西明寺に向かう。
 ここは五代将軍徳川綱吉の生母である桂昌院の寄進により再建されたそうだ。お寺に至る清滝川沿いの道にもフォトスポットが沢山。朱塗りの太鼓橋はやはり絵になる。息子は釣鐘をついたり、鐘を鳴らしたりと相変わらず忙しい。灯籠には緑の苔が生え、そこに数枚の赤い紅葉が落ちている。その緑と赤のコントラストがとても絵になっている。
 アップダウンの激しい道に足をがくがくさせながら、途中の売店で柚子を買ったり、山栗を頬張ったりして再び昼食処まで無事に戻ることが出来た。すっかり青空になり、気温も上がりコートも要らないくらいの小春日和になった。よく歩いたので、すっかり汗ばんだ。

 続いて嵯峨釈迦堂の名で呼び親しまれている五台山・清凉寺へ。本尊釈迦如来様は日本三如来の一つである。普段は御簾が下げられておりお姿は拝見出来ないけれど、特別拝観中で独特な髪型や衣もしっかり見せて頂くことが出来てラッキー。如来像の体内から絹で造られた五臓六腑が発見されたといい、そのレプリカも拝んできた。1000年以上前の解剖学的にも貴重な資料なのだそうだ。
 ガイド役の僧侶のお話がとても面白く、後の桂昌院となる“玉”の輿の話には一同大笑い。奥の庭園も素晴らしく、気づけばかなりの枚数の写真を撮ってしまった。

 そして、最後は化野(あだしの)念仏寺へ。1200年前、寺伝によれば弘法大師がこの地にお寺を建立され、野ざらしになっていた遺骸を埋葬したという。石段を登る両脇の紅葉が真っ赤に染まっている。青空に映えて紅葉はここが一番素晴らしかった。
 境内の八千体を数える石仏・石塔は、無縁仏の霊を祀る西院の河原だ。整備された竹林の小径の先には六面体地蔵があり、天道から始め6面にお水をかけてお参りしてきた。もちろん延命地蔵様にもしっかり参拝。
 ここには数十年前に修学旅行で来た筈なのだが、当時はもっと地味だったと記憶している。病を得、50代になった今の私は、すっかり綺麗に整備された念仏寺があまりに整然としていて、これまで持っていたイメージとはかなり違う印象を受けた。

 こうして今日の観光も滞りなく全て終了した。渋滞もなく、予定より早めに駅まで戻ることが出来た。帰途、バスの車窓から大きな虹を拝むことも。皆、建物に邪魔されないタイミングでその姿をカメラに収めている。ガイドさんと「きっといいことがありますね」と微笑みあう。
 御礼を言って、バスを降りホテルに戻ってお茶で一服。7時間のツアーで疲れた足を伸ばした。

 明日は語学の試験だという息子(私たちに一日付き合っていて大丈夫か?!)と、年末に帰省する際の夜行バスのチケットを予約した後、早めの夕食を摂った。その後、駅ビル15周年記念とレゴ日本上陸50周年記念の、レゴで造った大きな駅ビル模型や、これまた巨大なクリスマスツリーを見てから、下宿に帰る彼を見送った。

 今日も朝から晩まで一日よく遊んだ。夫は疲れて既に高いびき・・・である。
 明日は土曜日出勤の代休を頂き、一か所だけお参りしたら昼過ぎには帰京の予定である。

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