日経新聞のサイトを見ていて、気になる記事を見つけた。長文なので、ポイントだけ転載させて頂く。
※ ※ ※(転載開始)
Dr.森山紀之 日本一がんを見つけた医師からの手紙 拝啓 これからがんになる皆様へ
がん告知で浮かび上がる「夫婦の関係」 動揺するパートナー、本人落胆させる言動も(2015/6/1 6:00)
(前略)
■がんにかかった本人をがっかりさせてしまう原因
多くの人たちが「がん=死」だと思い、気持ちが後ろ向きになる。がんにかかったのが自分ではないにもかかわらず、「これでおしまいだ」と悲観的になり、パートナーを思いやったり、次の手立てを自分が冷静に考えたりすることができなくなるのです。
こうして、治療に入っても、不確かな情報をパートナーに与えて不安をあおったり、「いつ治るんだ?」といった本人には答えようのない問いかけで、気持ちを逆なでしてしまったりする。また逆に、「頑張れば治る」などの安易な精神論で励ましたり、あるいはつらさの余り、パートナーの悩みを無視し、無口、無関心になったりする。
これらはどれも、がんにかかった本人をがっかりさせてしまう原因になりかねません。こうした言動を取らないようにするのが難しいのは十分承知していますが、可能な限り、意識しておくようにしたいものです。
<がんにかかった本人を落胆させる4つの行動>
1.不安をあおるような情報を与える
「治療」「薬」「生存率」「医師」「病院」などに関する不確かな情報は言わない。
2.本人の気持ちを逆なでするような言動を取る
「いつ治るんだ?」「なぜがんになったんだ?」など、パートナーが答えようのないことは言わない。
3.安易な精神論で励まし続ける
パートナーはいつも頑張っている。「もっと頑張れる」「頑張れば治る」などの言葉で、今以上の努力を要求するような言い方はしないこと。
4.パートナーを無視したり、無口になったりする
パートナーは常に不安な状態にある。相手からの言葉には、とにかく耳を傾ける。
■がん患者の気持ちは「日々豹変する」
がんになった患者というのは、「豹変(ひょうへん)する」と心得ておいてください。あれだけ頼りがいのあった主人が、信じられないほど弱々しくなる。あるいは、きれい好きで気配りの人だった奥さんが、身の回りに無頓着になり、とてもわがままな人になってしまう。こうしたことは珍しくありません。
治療をする過程においても、がん患者は絶えず心が揺れ動きます。例えば「早く死にたい」「手術方法を変えてほしい」と口走ったかと思えば、気持ちが落ち着くと「死にたくない」「もっと頑張りたい」と力を振り絞りながら訴える。
身内ならば「できるだけのことはしたい」と思っていますから、このような患者の豹変ぶりに、多かれ少なかれ振り回され続けることになるでしょう。その際には、こう考えてみてください。
パートナーがわがままを言っているのではなく、がんが言わせているのだ、と。
パートナーががんだと分かったとき、みなさんに心がけていただきたいことが2つあります。1つは「決して慌てない」、そしてもう一つは「どんなときにも味方になる」こと。ただ、この2つの実践は、決して簡単ではありません。支える側として、心身ともに消耗してしまうときもあるでしょう。そうした際には、パートナーではなく、がんを恨んでください。
(後略)
(まとめ:平林理恵=ライター)森山紀之(東京ミッドタウンクリニック常務理事)
※ ※ ※(転載終了)
患者の家族は第二の患者だというのは今では良く知られたことだ。初発の治療で完治し、サバイバーとしてその後の人生を歩んでいくことが出来れば、患者の家族も“患者の家族”であり続けることはない。けれど、再発してしまえば、患者が亡くなるまで“患者の家族”を続けなければならない。患者も大変だけれど、支える家族も大変であると思う。
我が夫も当初は色々試行錯誤し、苦心をしながら、私の地雷を踏んで何度となく嫌な思いをした筈である。でも闘病生活も10年も超え、色々学び、今では実に自然体に対応してくれている。本当に有難く、感謝している。
それでも何時だったか、このブログでも書いた記憶があるが「末期がんでも治った!とかいうサプリメントのHPがあったから見てみたら」と言われたことがある。その時、私は治療中ではあったけれど、復職して普通の生活を始めていたので、“末期がん”という言葉に反発したのを覚えている。もちろん遠隔転移が多発しているステージⅣのがんであることに違いはないけれど、いわゆる“末期”と言う言葉から想像される事態とは違うと思っているし、今も再発進行がんではあるが、末期がんだとは思っていない。
夫からは「なぜがんになったんだ?」という言葉を浴びせられることはなかったけれど、今は亡き義母からは随分繰り返し「何がいけなかったんだろう・・・」と言われ続けた。それについては答えようがなくて、本当にいたたまれなかった。義母としては嫁ががんになったことで一人息子が苦労することが辛かったのだろうけれど。
再発し、治療がエンドレスだといっても、なかなか理解してもらえず「もう元気になったんでしょう?」とも繰り返し言われた。まあ、その辺りの義母の“悪気のない”発言について何度も夫にこぼしたけれど、もはや理解してもらうのは難しいと言われたことで、気にしないことにしたら随分楽になったものだ。
そして、今ではいわゆる狭義のきつい抗がん剤治療からは離れ、分子標的薬(それでもそれなりの副作用は伴う)の治療をしている私だが、今後はタキソテールやECのように身体にダメージの大きい治療はもうしないつもり、と宣言した時、かつては「出来れば頑張ってほしい」と言っていた夫もそれについてあれこれ言わなくなった。有難いことだ。治療については当然ながら夫より私の方が詳しいのだし、副作用を受けるのは私の身体なのだからそれは納得して頂かなければ致し方ない。
まあ、実際その時(きつい薬を使わざるを得なくなった時、それしか手がなくなった時)になったら、また私の気持ちも豹変するのかもしれないけれど、それはそれ。
記事にもあるとおり、抗がん剤の副作用でダウンしていると、普段は絶対に言わないことを言ったり、態度をとったりすることがあった。それについても全部薬が言わせているのだから、と言うことにした。これも理解してうまくスルーしてくれているようだ。情けないことに人格が変わるのである。
いつだったか、「私と結婚して、こんな病気になられて、あ~あ、想定外だったなあ、と思っているでしょう?」と意地悪を言ったことがある。その時、夫は「自分も少し人間的に成長したと思うから、(私が病気になったからといって)結婚しなければ良かったとは決して思っていない」と言ってくれた。
文字通り、健やかなる時も病める時も、だろうか。今後、歳の離れた夫が病気にならないでくれるのが一番だから、身体に悪いことはやめてほしいし、食事にも気をつけていきたいと思う。
そして、何より出来るだけ長く夫を支えることが出来るように、私自身今の体調をキープしたいと思うのである。
※ ※ ※(転載開始)
Dr.森山紀之 日本一がんを見つけた医師からの手紙 拝啓 これからがんになる皆様へ
がん告知で浮かび上がる「夫婦の関係」 動揺するパートナー、本人落胆させる言動も(2015/6/1 6:00)
(前略)
■がんにかかった本人をがっかりさせてしまう原因
多くの人たちが「がん=死」だと思い、気持ちが後ろ向きになる。がんにかかったのが自分ではないにもかかわらず、「これでおしまいだ」と悲観的になり、パートナーを思いやったり、次の手立てを自分が冷静に考えたりすることができなくなるのです。
こうして、治療に入っても、不確かな情報をパートナーに与えて不安をあおったり、「いつ治るんだ?」といった本人には答えようのない問いかけで、気持ちを逆なでしてしまったりする。また逆に、「頑張れば治る」などの安易な精神論で励ましたり、あるいはつらさの余り、パートナーの悩みを無視し、無口、無関心になったりする。
これらはどれも、がんにかかった本人をがっかりさせてしまう原因になりかねません。こうした言動を取らないようにするのが難しいのは十分承知していますが、可能な限り、意識しておくようにしたいものです。
<がんにかかった本人を落胆させる4つの行動>
1.不安をあおるような情報を与える
「治療」「薬」「生存率」「医師」「病院」などに関する不確かな情報は言わない。
2.本人の気持ちを逆なでするような言動を取る
「いつ治るんだ?」「なぜがんになったんだ?」など、パートナーが答えようのないことは言わない。
3.安易な精神論で励まし続ける
パートナーはいつも頑張っている。「もっと頑張れる」「頑張れば治る」などの言葉で、今以上の努力を要求するような言い方はしないこと。
4.パートナーを無視したり、無口になったりする
パートナーは常に不安な状態にある。相手からの言葉には、とにかく耳を傾ける。
■がん患者の気持ちは「日々豹変する」
がんになった患者というのは、「豹変(ひょうへん)する」と心得ておいてください。あれだけ頼りがいのあった主人が、信じられないほど弱々しくなる。あるいは、きれい好きで気配りの人だった奥さんが、身の回りに無頓着になり、とてもわがままな人になってしまう。こうしたことは珍しくありません。
治療をする過程においても、がん患者は絶えず心が揺れ動きます。例えば「早く死にたい」「手術方法を変えてほしい」と口走ったかと思えば、気持ちが落ち着くと「死にたくない」「もっと頑張りたい」と力を振り絞りながら訴える。
身内ならば「できるだけのことはしたい」と思っていますから、このような患者の豹変ぶりに、多かれ少なかれ振り回され続けることになるでしょう。その際には、こう考えてみてください。
パートナーがわがままを言っているのではなく、がんが言わせているのだ、と。
パートナーががんだと分かったとき、みなさんに心がけていただきたいことが2つあります。1つは「決して慌てない」、そしてもう一つは「どんなときにも味方になる」こと。ただ、この2つの実践は、決して簡単ではありません。支える側として、心身ともに消耗してしまうときもあるでしょう。そうした際には、パートナーではなく、がんを恨んでください。
(後略)
(まとめ:平林理恵=ライター)森山紀之(東京ミッドタウンクリニック常務理事)
※ ※ ※(転載終了)
患者の家族は第二の患者だというのは今では良く知られたことだ。初発の治療で完治し、サバイバーとしてその後の人生を歩んでいくことが出来れば、患者の家族も“患者の家族”であり続けることはない。けれど、再発してしまえば、患者が亡くなるまで“患者の家族”を続けなければならない。患者も大変だけれど、支える家族も大変であると思う。
我が夫も当初は色々試行錯誤し、苦心をしながら、私の地雷を踏んで何度となく嫌な思いをした筈である。でも闘病生活も10年も超え、色々学び、今では実に自然体に対応してくれている。本当に有難く、感謝している。
それでも何時だったか、このブログでも書いた記憶があるが「末期がんでも治った!とかいうサプリメントのHPがあったから見てみたら」と言われたことがある。その時、私は治療中ではあったけれど、復職して普通の生活を始めていたので、“末期がん”という言葉に反発したのを覚えている。もちろん遠隔転移が多発しているステージⅣのがんであることに違いはないけれど、いわゆる“末期”と言う言葉から想像される事態とは違うと思っているし、今も再発進行がんではあるが、末期がんだとは思っていない。
夫からは「なぜがんになったんだ?」という言葉を浴びせられることはなかったけれど、今は亡き義母からは随分繰り返し「何がいけなかったんだろう・・・」と言われ続けた。それについては答えようがなくて、本当にいたたまれなかった。義母としては嫁ががんになったことで一人息子が苦労することが辛かったのだろうけれど。
再発し、治療がエンドレスだといっても、なかなか理解してもらえず「もう元気になったんでしょう?」とも繰り返し言われた。まあ、その辺りの義母の“悪気のない”発言について何度も夫にこぼしたけれど、もはや理解してもらうのは難しいと言われたことで、気にしないことにしたら随分楽になったものだ。
そして、今ではいわゆる狭義のきつい抗がん剤治療からは離れ、分子標的薬(それでもそれなりの副作用は伴う)の治療をしている私だが、今後はタキソテールやECのように身体にダメージの大きい治療はもうしないつもり、と宣言した時、かつては「出来れば頑張ってほしい」と言っていた夫もそれについてあれこれ言わなくなった。有難いことだ。治療については当然ながら夫より私の方が詳しいのだし、副作用を受けるのは私の身体なのだからそれは納得して頂かなければ致し方ない。
まあ、実際その時(きつい薬を使わざるを得なくなった時、それしか手がなくなった時)になったら、また私の気持ちも豹変するのかもしれないけれど、それはそれ。
記事にもあるとおり、抗がん剤の副作用でダウンしていると、普段は絶対に言わないことを言ったり、態度をとったりすることがあった。それについても全部薬が言わせているのだから、と言うことにした。これも理解してうまくスルーしてくれているようだ。情けないことに人格が変わるのである。
いつだったか、「私と結婚して、こんな病気になられて、あ~あ、想定外だったなあ、と思っているでしょう?」と意地悪を言ったことがある。その時、夫は「自分も少し人間的に成長したと思うから、(私が病気になったからといって)結婚しなければ良かったとは決して思っていない」と言ってくれた。
文字通り、健やかなる時も病める時も、だろうか。今後、歳の離れた夫が病気にならないでくれるのが一番だから、身体に悪いことはやめてほしいし、食事にも気をつけていきたいと思う。
そして、何より出来るだけ長く夫を支えることが出来るように、私自身今の体調をキープしたいと思うのである。