いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

今日の看猫2011/3/24, そしてヨタ話;技術屋になりそこねた哲学者

2011年03月24日 19時42分44秒 | ねこ


今朝のうめちゃん。筑波山麓は、冷え込みました。ファンヒーターをつけたら、うめちゃんが温風を浴びにファンヒーターの前に陣取りました。



余震におびえるうめちゃん。余震ごとにおびえて、防空壕ならぬ防災壕を探して、うろうろします。最近の一番のお気に入り防災壕は和室の押し入れです。でも、和室のふすまが空いておらず、和室に逃げ込めないときは、こたつに逃げます。ただし、コタツぶとんが開いているときだけ。そうです、うめちゃんは必ずしも賢くないので、ふすまを開けたり、ふとんのすきまからこたつに潜り込むとかができなのです。まぁ、飼う方にとってはある意味楽なんですけどね。行動が限定されているので。それにしても猫は賢愚の差が激しい。ぬんげんと同じだにゃー。"賢い"猫はびっくりするようなことをする。

ヨタ話;"技術"屋になりそこねた哲学者

どうでもいいヨタ話なんだけんども、最近みた本に、言葉遊び的ビンゴ!があったので、報告する。

・抜き書き1;
仕事というのは、焼け残っている軍の倉庫から荷物を”かっぱらって”くることです。当時、川崎あたりには軍の倉庫がけっこうありました。焼け跡に、昔のを徴用したようなものや、きちんとした倉庫らしい建物などが、ポツンと焼け残っていたのです。そこにはあれこれと品物が残っていました。軍の関係者が、あとから運び出して売るつもりで隠していた品物なのでしょう。敷布だの軍隊の略装だのゲートルだのといった繊維品が主でした。どこからかそんな情報が流れてきて、いくつかのグループが示し合わせて、それらをかっぱらいに行くのです。「隠退物テキハツ」などと叫びながら、戸を壊して持ちだすのです。― (強調、いか@)
 木田元、『哲学は人生の役に立つのか』、第一章 混乱の時代を生き抜いた (Amazon

・抜き書き2;
そのようなわけで、テクネーという語がなにを語るかということと、テクネーと名づけられた事柄をギリシア人がどのように規定しているかということについて指摘することは、道具的なものそのものが、じつのところ、なんであるかという問いを究明したとき、明らかになってきたのと同じ連関へとわれわれを導いて行く。
 技術は開蔵のひとつのしかたである。技術がその本質を発揮するところとは、開蔵と不伏蔵性とが、すなわちアレーテイアが、すなわち真理が生起する領域なのである。
(強調、いか@) ハイデガー(関口浩、訳)、『技術への問い』(Amazon

ハイデガー、『技術への問い』の関口浩による訳注より;

開蔵[Entbergung]:: Entbergungとこの語の動詞形 entbergen とはともにハイデッガーの造語である。entbergenの語幹 bergen は、救助する、保護する、かくまう、隠す、などの意味をもつ他動詞である。前綴り ent- は、この語においては「離脱」あるいは「状態の解除」を意味している。entbergen は、隠れることからの離脱、蔵されているものを開くこと、を意味する。本書では茅野良男氏の訳語を採用して、「開蔵」とした....以下略

●アレーテイアには「真理」という訳語があてられることがある。理由はアレーテイアは、隠されたものがそうではなくなる=隠されたものが露わになるという字義。ハイデガーは『技術への問い』でいっている;ギリシア人は、この開蔵のためにアレーテイアという語をもっている。まさに、「隠退蔵物テキハツ」などと叫ぶことである。もしかして、木田元は哲学なんぞ勉強する前から、ギリシア的哲学者であったと喧伝しているのだろうか?気づかなかった。恐るべし、木田元。ただの復員兵じゃなかったのだ。やはり、読みは大切なのだ。

■木田元は昔ドイツに行った。その時まだハイデガーが存命中で、仲に立つ人が木田にハイデガーに会わせてやろうか?と持ちかけたが、木田は拒絶したと本人が回顧している。でも、海軍兵学校話、つまり、ハイデガーは決死の戦士が好きだということ;

ハイデッガーについて聞いた話では、彼はある版を気に入ったそうなのです。「日本語がわからないのに、どうやって確認したのか?」。ハイデッガーは答えました、担当したのは神風特攻隊に志願した元兵士だから、わけがわかっているはずだと。 ―  
スラヴォイ・ジジェックのインタビューでの発言;『人権と国家―世界の本質をめぐる考察』

や、闇屋としての開蔵物語をハイデガーに話してやれば、狂喜したにちがいない。残念なことだ。

な、わけねぇーよな。だって、ハイデガーは「蔵」って言ったおぼえねぇーし。

ちなみに上記の抜き書き部分の英訳はかくのごとし;

Thus the clue to what the word techne means and to how the Greeks defined it leads us into the same context that opened itself to us when we pursued the question of what instrumentality as such in truth might be.
Technology is a mode of revealing. Technology comes to presence in the realm where revealing and unconcealment take place, where aletheia, truth, happens. (The Question Concerning Technlogy [Die Frage nach der Technik])


開蔵=revealing::::日本語訳の大仰さにびっくりせよ!

■木田元関連愚記事;
日帝海軍最年少の復員兵、あるいは日帝廃棄物; 木田元さん私の履歴書
日帝の手切れ金

▼ブログ内ビンゴ記事;蔵秘庵

▼解蔵=西洋語の訳語を仕入れるために、大蔵経を読み解くこと。なんちって。












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