語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【心理】何々せねば“いけない”思考を捨てる ~プレッシャー対処法~

2015年10月06日 | 心理
 (1)1試合ごと、1打席ごとに「結果」が出る野球では、絶えずプレッシャーにさらされている。
 だが、それは一般社会でも同じことではないか。
 <例>大事な会議でプレゼンテーションをする。取引先と商談して契約を結ぶ。
 結果を求められる場面では、誰しも大なり小なりプレッシャーを感じることだろう。
 宮本慎也は、もともと緊張しやすい性格だった。打席に向かうときには、緊張で足が震えた。プロ野球に入って最初のころは、「緊張したらあかん」とばかり考えたものだ。
 
 (2)プレッシャーとは何か。何かをしなければ「いけない」と考えたときに生まれるものだ。
 「この試合に勝つんだ」「ヒットを打つんだ」という能動的な気持を保っているときは、さほどプレッシャーを感じることはない。
 それが、ひとたび、「この試合に勝たなければならない」「ヒットを打たなければならない」と受け身にまわってしまうと、プレッシャーは増大する。「試合に負けたらどうしよう」「失敗したらどうしよう」と結果を恐れる気持が芽生え、余分なプレッシャーを感じることになってしまうからだ。それでは良い結果につながるはずはない。

 (3)2001年のヤクルトがそうだった。シーズン中盤まで首位を走っていたが、最大10ゲーム差をつけていた中日に逆転され、リーグ優勝を逃してしまった。ヤクルトは当時、優勝争いを経験したことがない若い選手が多く、シーズン終盤の9月以降、中日の本拠地のナゴヤドームでは1勝8敗と力を発揮できなかった。
 中日の選手にも重圧はかかっていたはずだ。しかし、優勝争いの経験が豊富な中日選手は、プレッシャーに対する腹の据え方が分かっていた。
 「やるべきことはやったんだから、結果はしようがない」
ぐらいの割り切りができていたのだろう。

 (4)プレッシャーはついて回る。そこから逃げることはできない。
 では、避けられないプレッシャーとどう向き合っていくか。
 宮本慎也がいつも考えていたのは、自分ができる「準備」を整理することだった。
 <例>得点圏に走者がいる場面で打順が回ってきたとする。チャンスだからといって、ヒットを打たなければ点数が入らない、というわけではない。
    ①内野ゴロでも点が入るケースもある。
    ②外野フライでも得点できる場合もある。 
    ③この場面では打ったほうがいいのか、待ったほうがいいのか。
    ④ヒットを打つしかないのであれば、どの球種を待って、どの方向へ打てばいいのか。
 相手の守備位置、配球を考え、準備を整理することに集中していた。

 (5)結果はコントロールできないが、どう準備するかはコントロールできる。
 準備を整理することで、「打てなかったらどうしよう」という思考の隙間が少なくなっていった。

□宮本慎也(プロ野球解説者)「プロが戦うプレッシャーとは何か “いけない思考”との付き合い方 ~洞察 67~」(「週刊ダイヤモンド」2015年10月10日号)
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