語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>人食いバクテリア ~「放射性ヘドロ」~

2011年06月03日 | 震災・原発事故
 被災地の沿岸部には大量のヘドロが海底から打ち上げられた。
 岩手県や宮城県では順次撤去作業が進んでいるが、福島県だけはほとんど手つかずの状態が続いている。推計500万トン。通常ならば単なる土砂にすぎない。しかし、福島第一原発の放射能に汚染されている可能性が高い、と環境省は埋め立てなどで処分することを認めていない。
 福島県相馬市の場合、60万トンのヘドロが打ち上げられている。農地もヘドロ化し、両者を合わせてヘドロの総量は250万トンに達する。

 津波がもたらすヘドロは、感染症流行の要因だ。 
 もっとも注意すべき感染症は、破傷風だ。復興作業中に釘などの深い刺し傷を放置すると、感染リスクが格段に上がる。事実、国立感染症研究所感染症情報センターには、すでに岩手、宮城両県で計9件の感染例が報告されている。

 もっと恐ろしい感染症リスクもある。
 ビブリオ・バルニフィカス菌による感染症だ。破傷風のような土壌由来ではなく、海水由来の感染症だ。病原菌は、エビなどの海産物の中や、淡水と海水が混ざるところに常住している。感染し、発症した場合、肝疾患を持つ人は重症化し、致死率は70~80%に達する。数時間で手足が壊死し、死に至ることもあるので「人食いバクテリア」とも呼ばれる。早期診断が肝要だ。

 ビブリオ・バルニフィカス菌は、梅雨以降、いっそう怖くなる。
 塩分濃度が海水(3.5%)よりはるかに高い8%でも繁殖する。逆に1%ほどしかなくても平気なのだ。梅雨の時期には、雨でヘドロの塩分濃度が下がっても繁殖するし、夏に塩分が濃縮されると、ますます活性化する。
 ヘドロを放置しておくと、リスクが高まる。

 政府は、まだ何の方針も打ち出していない。

 以上、岩田智博(編集部)「『放射性ヘドロ』が増殖 人食いバクテリアの恐怖」(「AERA」2011年6月6日号)に拠る。
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