語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【通信】携帯料金を下げるにはMVNOの育成が必要

2016年01月12日 | 社会
 (1)2人以上の勤労者世帯が支払った「移動電話通信料」は、月平均1万2,279円に上った【総務省の家計調査】。
 10年前から4割の上昇となる。

 (2)家計の負担を減らすべく、安倍晋三・首相の肝いりで誕生した有識者会議は、2015年10月から携帯電話料の引き下げの検討を行ってきた。  
 同会議が同年12月16日にまとめた報告書では、
   ・実質0円となる端末の値引きの見直し
   ・低料金プランの新設
などが提言として盛り込まれた。
 提言自体に強制力はないが、仮に大手事業者が従った場合、果たして料金は安くなるか。
 また、こうした介入は望ましいか。

 (3)端末の値引き制限は、新規端末の購入時に大きく家計を圧迫するもろ刃の剣となる。
 通信料の値下げが行われたとしても、機種変更の頻度の高い利用者は負担がむしろ増すだろう。
 さらに事業者間での乗換を通じた利用者の獲得競争を制限し、各事業者の囲い込みを加速させる危険性もある。

 (4)今まで端末の値引きに充てていた費用を通信料の値下げの原資に回せばよい、という意見も出ているが、それを事業者に期待するのはお門違いだ。
 営利企業である以上、原資の有無と無関係に、自社がもうかる通信料金プランを用意すればよい。
 事業者の利益に反する企業戦略を、提言や指針によって半ば強制するような矢里亜k田は健全とはいえない。

 (5)携帯電話事業に競争をもたらすためには、仮想移動体通信事業者(MVNO)のシェア増大を目指すのがベストだ。
 MVNOによる格安プランの魅力が高まり、利用者が増えれば、平均的な通信料金は下がるし、競争を通じて大手3社の通信料金にも値下げ圧力がかかる。
 低料金プランの新設という提言は、すでに多様な格安プランを提供しているMVNOにとっては逆風になりかねない。

 (6)いかなる市場でも、サービスの価格を下げて質を改善するための最良の方法は、供給者を増やすことだ。
 大手3社の経営に直接介入するような規制ではなくて、挑戦者であるMVNOを育てるような市場環境の整備が望まれる。

□安田洋?「有識者会議は的外れ 携帯料金を下げるにはMVNOの育成が必要 1万2279円 2人以上の勤労者世帯における月平均の「移動電話通信料」 ~数字は語る~」(「週刊ダイヤモンド」2016年1月9日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。