語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【国土】まず実態把握を、そしてコンパクト化も ~朽ち始めたインフラ対策~

2012年12月19日 | 社会
 (1)老朽化が進む社会インフラに処方箋を示し、かつ、実践面での手助けも行っているのが、根本祐二・東洋大学教授/「社会資本メインテナンス戦略小委員会」だ。彼は語る。

 (2)日本では、1960年代から1970年代にかけて大量の社会インフラが整備された。40~50年が経過し、今後老朽化したものが増えていく。対策(更新・補修)を今やらないと間に合わない。
 インフラの大半は自治体が所有する。国ができることは限られている。いろいろな課題のうち、最大のものが実態把握だ。まだ行われていない。
 自治体の会計システムでは固定資産台帳が義務づけられていない。いつ造られたか、明確でない(年代不詳のものが1割)。

 (3)国土交通省が橋などの長寿化施策を進めている。有効な施策だ。
 日本の建築は、建て替えることを優先してきた。それが高度経済成長期のビジネスモデルでもあった。
 だから、今あるものを延命、リニューアルする技術はさほど発展していない。ここにビジネス・チャンスがある。
 新しいものを造るコンクリートではなく、今あるものを直すコンクリートは必要だ。バラマキではなく、必要なものを吟味した上で事業を進めていくべきだ。最優先すべきは、橋、道路、学校の更新事業だ。インフラ更新に回す自主財源を作るべきだが、その前に自治体の現場でやれることをやるべきだ。

 (4)公共施設(学校・公民館・図書館など)はいろんな対策がとれる。
  (a)多機能化・・・・わけても老朽化が進み、数が多く、面積の広い学校に最も有効だ。建て替えるとき、何にでも使えるよう造り直すのだ。
  (b)広域化・・・・近隣自治体で文化ホールや病院などを持ち合う。ワンセット主義を捨てるのだ。
  (c)長寿命化・・・・橋、道路、上下水道には、(a)や(b)は使えない。これらに対しては、穴が開いたらその都度補修する「事後保全」の考え方を、穴が開かないように管理する「予防保全」に転換する。長寿命化を図り、維持補修費を安く抑える。
  (d)包括化・・・・個別かつ短期でのマネジメントを包括的かつ長期で行う方式に変える。<例>指定管理者制度を活用して、橋、道路、河川のすべての管理を民間委託して経費削減効果をあげている自治体もある。

 (5)そして、コンパクト化。
  (a)下水道・・・・これまで広大な地域を公共下水道というネットワークでカバーしてきた。ネットワークは、少しずつ積み上げていくと複雑化し、ゼロから構築すると半分で済む。更新時に、迂回しているものをカットして直線で結ぶなど簡素化を図るべきだ。人口減少時代に入った今、延びきったネットワークのすべては賄いきれない。計画段階の公共下水道は中止し、コンパクトな合併浄化槽に切り替えるべきだ。
  (b)道路・橋・・・・通行規制されている橋は、全国に1,349ある。そのすべてを架け替えるカネはない。コンパクト化、つまりネットワークの再構築を進めるべきだ。痛みを伴うが。

 以上、記事「橋・ダム・高速道路・・・・が危ない 朽ち始めたインフラ」(「週刊ダイヤモンド」2012年10月30日号)に拠る。

 【参考】
【国土】朽ち始めたインフラ ~危ない橋・ダム・高速道路~
【国土】老朽化の進行、破裂、長寿命化への挑戦 ~水道~
【国土】ダム機能を脅かす堆砂 ~ダムと原発に共通するもの~
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