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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】生き抜くための目的思考 ~『武器を磨け』~

2018年01月24日 | ●佐藤優
 <どれだけ立派な志と学歴があり、スペック的に優れていたとしても「現実を生き抜く力」がない人間は、後醍醐天皇のように途中で脱落してしまう。
 そこで重要になってくるのが自分が何を目指し、何を大事にしたいのか、何をしないと生き残れないのかという「目的行為」を明確に持ち、そのために行動するという「目的論」的考え方だ。多くの人たちはここが弱い。
 目的論とは本来、哲学の考え方だが、あらゆる事象は何らかの目的によって起こり、その目的に向かって生成変化していると考える。つまり自然に、勝手に起こっているものなどないというわけだ。人間も例外ではない。それなのに多くの人は自分自身を目的論的にとらえることができないまま生きている。
 たとえば皆さんはお正月の過ごし方と聞いて何を思い浮かべるだろうか。紅白歌合戦を見て、初詣に出かけておせちを食べて・・・・といったところだろう。
 そうした人は、厳しいようだが現時点では「現実を生き抜く力」という点で弱い。目的論的に生きられていないからだ。なぜそうなるのか。実は紅白というのはある種の“宗教行事”なのである。何もないただの平日に紅白を放送したとして40%という視聴率がとれるとは思えない。ポイントは大晦日の23時45分にある。蛍の光を合唱してバカ騒ぎが終わったその瞬間、急に画面が切り替わる。
 どこかのお寺の鐘の音がゴーンとテレビから響いてくる。まさにカオス(混乱)からコスモス(秩序ある調和)」への大転換。1年が終わる。やり残したことも多い。だけどまた新しい年にやり直せばいい。1年の目的があいまいでも、日本人に埋め込まれている“創造物語”があるからこそ、集合的無意識であれほどたくさんの人が紅白を見るのだ。
 このあたりにも「目的」への意識が弱い日本人らしさが表れている。> 

□佐藤優/原泰久・原作『武器を磨け 弱者の戦略教科書『キングダム』 』(SB新書、2018)の「第1章 負けない極意」の「「終わり」から発想する」の「生き抜くための目的思考」を引用
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 【参考】
【佐藤優】中期展望を描いた者が生き残る ~『武器を磨け』~


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