語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【沖縄】障害を持つ学生への「情報保障」から“見えるラジオ”へ

2016年12月04日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)9月24、25日に沖縄県で開催された第14回市民メディア全国交流集会(通称メディフェス)の会場では、一つの意欲的な試みが2日間の全プログラムを通じて行われていた。
 壇上でのトークなどが、設置されたモニターで即座に文字化されて伝えられたのだ。
 しかも初日と2日目とで、それぞれ別のシステムが使われていた。
  (a)初日の読谷村(よみたんそん)会場(地元ラジオ局FMよみたんも入る地域振興センター)では「ノートテーク」という、いわば人力での変換・入力方法が採られ、壇上すぐ横のブースにいる沖縄国際大学の福祉・ボランティア支援室の学生たちがトークを聴きながらキーボードで文章化。
  (b)2日目の那覇市会場(なは市民活動センター)では「UDトーク」という自動的に音声を聴き取って文章に変換する専用アプリが使われ、多少の音声認識ミスはあるが、かなりの精度でトーク内容を正しく伝えていた。

 (2)前述の沖縄国際大学の福祉・ボランティア支援室には2013年11月よりFMよみたんの特設スタジオが設置され、同支援室の学生たちによる生放送番組が、ノートテイクによる字幕を掲載したネット配信と一緒に行われてきた。いわば“見えるラジオ”だ。
 同大学経済環境研究所のほか、なは市民活動支援センターやFMよみたんのメンバーでもある稲垣暁(いながきさとる)さん(社会福祉士・防災士)は次のように説明する。「聴覚に障害を持つ学生は講義を音声で聴き取れません。別の学生が彼、彼女らの耳代わりになり、情報保障を行う必要があると考えました」

 (3)学生たちは約1年間の研修を受けて厚労省による資格を取得のうえ作業に入るのだそうだ。
 会場でノートテークを担当した同大学生の渡嘉敷初音(とかしきはつね)さんは大学に入って初めてノートテイクの存在と、同時に「この大学にも聴覚障害者がいる」ことを知ったそうだ。

 (4)聴覚障害も含め、同大学には他にも多くの障害を持つ学生が通う。そうした学生たちへ情報保障を行うという発想がラジオ番組の放送にもつながった。
 脳性麻痺による障害を抱える同大学3年生の上間祥之介(うえましょうのすけ)さんは「ラジオが始まったことで学内に僕のような車椅子の学生がいることを知ってもらえ、理解が深まった」と話す。
 まさに“見える”形でラジオが学内におけるコミュニケーションの潤滑剤として機能しているのだ。

□岩本太郎(ライター)「障害を持つ学生への「情報保障」から“見えるラジオ”へ ~草の根www.第322回~」(「週刊金曜日」2016年10月28日号)を引用
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