語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【言葉】ヘルン言葉 ~コミュニケーションにおいて大切なもの~

2014年05月03日 | 心理
  竹村登茂子・読売新聞編集委員は、読売新聞の「今日のノート」で、次のように書いた。

---------------(引用開始)---------------

 松江市にある明治期の文学者・小泉八雲の記念館の展示物に、妻・セツが作った「単語帳」がある。
 後に日本に帰化し、怪談「耳なし芳一」などを残した、当時ラフカディオ・ハーンだった八雲が住む家に、実家を支えるため住み込みのお手伝いさんとなたセツ。その後、夫婦となり、ハーンの言葉を書き留めて勉強したものだ。
 「シウ 靴、カタン 綿、アエロン 鉄、ワエン 酒、アブ ~の」など、記述はすべて発音通り。英語がわからないセツの、なんとか理解したいという熱意が見え、ほほ笑ましい。
 夫婦はその後、もっと分かり合うため、助詞などを省いた日本語を使った。ハーンのローマ字読みから「ヘルン言葉」と呼ぶ。
 たとえば最後の時、八雲はセツに「私死にますとも、泣く、決していけません。悲しむ、私喜ぶないです」と言ったと、セツの著「思い出の記」にある。文法はともかく、伝えたい思いがあふれ、温かい言葉だ。
 (後略)
---------------(引用終了)---------------

 所見。
 (1)「シウ 靴、カタン 綿、アエロン 鉄、ワエン 酒」は、今なら「シュー 靴、コトン 綿、アイロン 鉄、ワイン 酒」と表記するところだ。
 (2)シウ、カタン、アエロン、ワエン・・・・と聞こえても、かつ、そう発音しても英語圏の人に通じる。ちなみに、五木寛之によれば、スパシーボと言う代わりに「千葉水郷」と言ってもロシア人に通じた。
 (3)文法無視の日本語であっても、伝えたい内容があれば、伝わる。・・・・逆に言えば、伝えたい内容も感情もない場合には、文法に則った文章であっても、何ひとつ伝わりはしない。

□竹村登茂子(編集委員)「今日のノート」(読売新聞 2014年3月2日)
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 <小泉八雲旧居>
   


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