語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】基準値超の福島県産米 ~「セシウム米」が稔る秋~

2012年11月05日 | 震災・原発事故
 (1)福島県産米の放射性物質(放射性セシウム)の検査は、次のようにすること、と決められている。
   (a)事前出荷制限区域【注】・・・・全袋検査
   (b)その他の地域(事前出荷制限区域ではない地域)・・・・抽出検査

 (2)10月18日、福島県は福島県産米の全袋全量検査(8月25日開始)の速報値を公表した。
 これによると、事前出荷制限区域では、検査予定990,224件中293,657件(30%)しか検査が終わっていない。ただし、この数字は、収穫量の少ない8~9月分を含めた平均値で、「検査する米がない」という事情があったことを含んでおかなければならない。
 他方、10月8~14日の1週間では、約176,000件、検査している。この検査量を確保できれば、予定件数の残量約700,000件は4週間で処理できる(件数=検査数量ではないにしても)。全量検査は、年内に終わるだろう。

 (3)ところが、群司彰・農林水産大臣は、10月12日の記者会見で、とんでもないことを言い出した。
 この地域の中が終わるまでは留め置く、というやり方をしない。検体の抽出が終わった部分については、「地域全体として50Bq以下」というような地域であれば、出荷していい。そういう形に改めるよう、今、現地の人と話をしている。・・・・そう発言しているのだ。
 ある地域の一部の米だけを検査し、50Bq以下であれば、その地域の米は全量出荷させる、と言っているのだ。

 (4)昨年、福島県知事が「福島県産米の安全宣言」を発表したわずか1ヵ月後に、基準値を超える米が見つかった。
 これで、一気に消費者の信頼が失われた。
 まだ30%ほどしか検査していない今年、もう大丈夫だ、という保証はない。

 (5)はたして、群司農水相の発言から2週間も経たないうちに、新基準値(100Bq/kg)超の米が見つかった。
 そもそも、福島県が公表したデータによれば、100Bqを超えていなくても、もう少しで超える米は多数見つかっている。「ぎりぎりセーフ」であっても、いつ基準値超えの米が見つかっても不思議ではない状況だ。
 <例1>福島市(旧福島市)産米17点・・・・すべて67~81Bq。
 <例2>福島市(旧庭塚村)産米11点・・・・すべて72~96Bq。
 <例3>須賀川市産米43点・・・・すべて67~99Bq。

 (6)たとえ(1)-(b)の抽出検査で50Bqを下回っても、その地域の米がすべて100Bqを下回っているとは限らない。
 出荷した米から基準値を超えるものが出たり、暫定出荷された地域から、後で基準値超えの米が見つかれば、福島県産米の信用は完全に失墜するだろう。
 福島県産米の信用を確保するには、全袋・全量検査が大前提だ。昨年の過ちを繰り返さないためには。

 【注】2011年産米で100Bq以下の放射性セシウムが検出された地域。

 以上、垣屋達哉(消費者問題研究所長)「福島県産米の全袋検査は何が何でもやり通さなければならない」(「週刊金曜日」2012年11月2日号)に拠る。

 【参考】
震災】原発>「穴」の多いコメ検査体制 ~基準越えセシウムが検出~
【震災】原発>「セシウム米」が稔る秋
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