語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】&鈴木琢磨 情報分析、よいブログの見分け方、新聞の力

2018年01月06日 | ●佐藤優



(1)情報分析
 情報の分析術については、素人があえて考える必要はない。素人がグラフをとったり、用語を集めたりしたところで的確な分析など生まれてこない。素人が国際情勢に関して偏見まじりの分析をすることなど、一番たちが悪い。有害無益だ。情報の分析術はプロに訊くべきだ。
 「プーチンはけしからん」
 「リトビネンコは暗殺されたのではないか」
 「北朝鮮には喜び組がいて、酒池肉林の毎日が繰り広げられている」
のごときは、娯楽として聞くならともかく、とうてい正確であるはずがない。【佐藤】
 ビジネスパーソンは、自前で情報分析する必要はない。膨大な情報からいくつかをチョイスした上で、それを歴史のフィルターに流す。ザルに残ったものが石か砂金かを見きわめる。ザルに残った3つのカケラがすべて砂金とは限らない。大量の情報をA、B、Cに選り分けるだけでも、分析の仕事としては大変難しい。【鈴木】
 完璧な分析は、まったく意味がないものに限りなく近い。たとえば、「黒猫は黒い」。これは完全に正確な分析だ。主語の中に答を証明できる内容がすでに含まれている。完全な分析とは、そういうものだ。【佐藤】

(2)よいブログの見分け方
 国内だけでも何百万のブログがあり、「自称専門家」が大勢出現している。【鈴木】
 ブログは玉石混淆だ。圧倒的多数は石だ。根っこの部分は、すべてテレビや新聞で見聞きしたものに則っている。そこに自分のコメントを付け、あたかも自分が考えついた話のように膨らませていくやり方だ。ブログの玉石を見分けるには、プロの意見を聞くのが手っとり早い。北朝鮮問題なら、鈴木琢磨が推薦するブログは情報源として信頼できる。【佐藤】
 北朝鮮関係の情報源は、最近更新が滞っているが、「私設 朝鮮民主主義人民共和国研究室」がピカイチだ。【鈴木】
 政治分野では、山口二郎(北海道大学)のブログを推薦する。社会民主主義的観点の斬り方から政治を論評し、非常に優れている。このブログを読めば、新聞の政治情勢分析よりも早く、かつ、深い情報を得ることができる。インターネットがどれだけ発達しても、新聞と専門家が信頼できることには変わりない。【佐藤】

(3)新聞の力
 国際情勢は、プロの分析に耳を傾け、新聞のコラムをしっかり読むべきだ。新聞に書いてあることは、じつに正確だ。情報の世界では、厳然と新聞の世界でマーケットを占めている。レベルの低い記者は、新聞の世界では淘汰されていく。【佐藤】
 インターネットの時代だからこそ、新聞の需要はますます大きくなっている。【鈴木】
 ソ連で一番影響力が強かった日刊紙「イズベスチヤ」は、最盛期で1,800万部出ていた。現在は、ロシア全土で15万部ちょと。旧ソ連諸国を含めても20万部だ。それでも「イズベスチヤ」は、政治、経済、学術のエリートの世界で一定のオピニオンを形成している。佐藤も自腹を切って年間10万円近支払い、「イズベスチヤ」を定期購読している。新聞の力はものすごく強い。新聞を過小評価するのは間違っている。なお、新聞の世界では、「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン」の力は侮れない。全世界合わせても数十万部程度だが、「ヘラトリ」はあちこちのニュースを拾い、国際ネットワークの中でュースの土俵をつくる。「ヘラトリ」に出ているテーマが世界のニュースの土俵になる。怖い媒体だ。絶対に無視できない。日本の外務省は、「ヘラトリ」に妙な土俵をつくられないようにしないといけない。「ヘラトリ」の影響力を日本人は理解できていない。【佐藤】
 
□佐藤優/鈴木琢磨『情報力 -情報戦を勝ち抜く“知の技法”-』(イースト・プレス、2008)の「第4章 膨大な情報を瞬時に捌く『整理力』『勉強力』」
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