語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【料理】はシンプルに ~シンプル・ライフにつながる~

2014年09月29日 | 生活
 理想的な家庭料理は、
  プロが作るような本格的な料理ではなく、
  かといって手抜き料理でもなく、
  「○○の素」みたいな旨味調味料理で作られたものではないことは無論のこと、
  シンプルな手順でシンプルな料理を作ることだ。

 凝った手順を踏めば、複雑で美味しい味になると考えがちだが、実はそうではない。
 「凝っている方が美味しい」というのは、単なる思い込みだ。

 以下、とても簡単な手順で、しかし非常に本格的な味になるレシピ。
 題して「パイナップル入りの酢豚」。

 缶詰のパイナップル。
 しかも、ケチャップ味。
 それだと、酢豚に合わない。

 用意するのは、
  生のパイナップル。
  豚肉。油で揚げるから、豚肉は赤身のほうが重くならないでよい。
  ニンニク。
  ショウガ。
  長ネギ。
 調味料は、
  黒酢。
  オイスターソース。
  紹興酒。
  砂糖。 

 豚肉は、できるだけブロックを買ってきて、斜めに薄くスライスしておく。
 パイナップルは、皮を厚めに剥いて、サイコロぐらいの大きさに刻む。
 ニンニク、ショウガ、長ネギはみじん切りに。
 フライパンに油をひいて、これらを炒め、いい香りがしてきたら、パイナップルも加えて、調味料も全部足して、しばらく煮込む。水溶きかたくり粉でとろみをつけたら、ソースは完成。 
 豚肉はかたくり粉をまぶして、180度のてんぷら油でパリッとするまで揚げる。油を切ったら、揚げ豚を平皿に広げ、肉全体にかからないように中央にこんもりとソースを乗せる。ソースがかかっていない豚の、カリッの部分が残っているほうば美味しい。

 以上の料理は、中国料理「糖醋肉」(日本式酢豚の原型)をアレンジしたもの。
 ケチャップを使わないから、甘ったるくない。生のパイナップルの酸味とオイスターソースの旨味が調和して、新鮮に感じられるはずだ。手順も材料もとてもシンプル。だが、味は本格的だ。
 これぞ家めしの醍醐味だ。

 これからの時代は、料理に限らず、住む家も身につける衣服も持ち物も、なるべく減らしてシンプルに生きていくのが好まれるようになっていく。
 そういうライフスタイルで移動の自由を確保していくことが、楽しい人生につながっていく。

□佐々木俊尚「シンプルイズベスト! ~オヤジの家めし12~」(「週刊金曜日」2014年9月26日号)
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 【参考】
【料理】家事する男 ~家事しない男の時代は終わった~
【料理】する自由 ~調理道具に凝るな~
【料理】野菜料理のコツ ~美味な「ポテトサラダ」の作り方~
【料理】バブルが産んだのは外食だけ ~家庭料理のコツ(一例)~
【料理】基礎調味料だけでエコかつ経済的に ~回鍋肉で実践~
【料理】1日2食でも十分なワケ ~肥満防止~
【料理】2つのポイント ~片付けの技術~
【料理】毎日もちっとも面倒くさくない ~手抜きの技術~



【政治】「地方創生」が実現する条件 ~石破-河村ラインの役割分担~

2014年09月29日 | 社会
 四半世紀前、「ふるさと創生」を引っ提げて自民党幹事長から首相になった竹下登は、消費税導入を果たした。そして、消費税に次ぐ政権としての政策目標に「ふるさ創生」を掲げた。その具体策の第Ⅰ段が、全国のすべての市町村への「一律1億円」の交付金だった。
 人口規模に関係なく1億円を配る・・・・というアイデアを推進したのは梶山静六・自治相だった。梶山は一律10億円も考えていた。
 それまでの地方活性化政策は何から何まで「国頼り」つまり「上から下へ」という政策決定システムが貫かれた。「ふるさと創生」はその転換を促す起爆剤と位置づけられた。
 当時はバブルの絶頂期。潤沢な税収があったことも「ふるさと創生」で多額の予算を使うことを可能にした。
 竹下が自民党総裁選(1987年)に立候補する際して出版した『私の「ふるさと創生論」 素晴らしい国日本』はベストセラーになり、中身は今も決して古びていない。
 見出しの一例・・・・「個性的な地方都市をつくる」「東京の過剰負担を軽減させる」。
 いずれも安部晋三・首相がめざすものとほぼ同じだ。

 ただし、地方創生は言葉の響きとは裏腹に相当な難問だ。言葉は違っても過去の政権が何度も挑戦しながら、実績を残すことができなかった事実からして明らかだ。
 これを実現するには周到な準備、潤沢な予算、優秀な人材など多くの条件が必要だ。
 ところが石破茂・地方創生相には何も用意されていないのに等しい。内閣府に大臣室を置く石破に仕えるのは、各省からの混成部隊だ。すでに来年度予算の概算要求は終わっている。裁量の範囲はきわめて限定的だ。

 さらに複雑なのは、自民党に総裁直属の組織として地方創生実行統合本部が新たに設置されたことだ(河村建夫・本部長/元官房長官(麻生太郎政権))。前自民党選対委員長の河村は、自民党のすべての選挙を仕切って与党復帰を実現した功労者で、自民党の二階派(二階俊博・自民党総務会長)の会長代行の顔を併せ持つ。統合本部の幹部にも、二階が中心となった国土強靱化総合調査会の主要メンバーがそっくり横滑りする気配だ。
 統合本部長代行は、林幹雄・元国家公安委員長。事務局長に福井照・元建設官僚。

 石破と河村は、どう棲み分けるのか。
 政府側も地方創生本部長は安部自身が務める。副本部長の一人は石破で、もう一人が菅義偉・官房長官だ。管は第一次安部内閣で総務相を務め、在任中に発案したのが「ふるさと納税」だった。管は「ふるさと創生」を手がけた梶山静六の直弟子で、出身地の秋田への思いが融合して生まれたのが「ふるさと納税」だ。

 しかし、河村が安部から言われたのは「看板政策だからよろしく頼む」ということだけ。
 役割分担がはっきりしないまま、「看板」だけが独り歩きしかねない。
 かつて鈴木善幸内閣で、「土光臨調」が発足し、3公社の民営化が進んだ。政府側の責任者が中曽根康弘・行政管理庁長官。党側が橋本龍太郎・自民党行財政調査会長。この二人三脚で行革を前に進めた。土光敏夫のカリスマ性も加わって行革は国民運動に昇華した。
 これに対して、安部が掲げる地方創生はスローガンの域を出ていない。政府側も党側もベテラン実力者で固めているが、かえって「船頭多くして船山に上る」状況に陥りかねない。
 「岩盤より硬い」霞が関の縦割り構造の前に散った「看板政策」は数知れない。
 「石破-河村ライン」はしっかり機能するか。

□後藤謙次「看板政策「地方創生」の成否握る石破-河村ラインの役割分担 ~永田町ライブ 211~」(「週刊ダイヤモンド」2014年10月4日号)
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 【参考】
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