語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>ついに始まった千葉県柏市の人口流出

2012年03月09日 | 震災・原発事故
 千葉県柏市は、原発事故がもたらした「ホットスポット」、首都圏でも局所的な高線量を示す自治体として世に知れわたった。

 昨夏まで、秋山浩保・柏市長は市民の動きに冷淡だったが、「ホットスポット」と呼ばれるようになってから態度が変わった。ほぼ同時期に柏市の人口流出が始まり、市長はいっそう危機感を煽られたらしい。【押川正毅・東大物性研究所教授】
 震災以降、柏市の人口動態に初めて異変が起きたのは、昨年8月だ。1,498人の転入に対し、転出は1,591人。差し引き93人の人口減少だ。以降、7ヵ月連続で転出が転入を上回り、この2月には転出が209人超過する異常事態となった。
 放射能に怯えて家族全員で柏市を去った知人もいる。人口流出は、放射能汚染の影響としか考えられない。【押川教授】 

 秋山市長は、年頭に、人口減と放射能の因果関係を認めた。
 線量は問題のないレベルとした初動対応の失敗が、市民の不安を招いたのだ。【秋山市長】

 最近は、除染で使うマスクやスコップなど消耗品を現物支給するようになった。市が、私たちを熱心に支えてくれるようになったのは、驚きの一語に尽きる。【川田晃大・「つながろう柏! 明るい未来プロジェクト」代表】

 以上、徳丸威一郎(本誌)「南相馬で最大7200ベクレル 内部被曝173人「要注意レベル」」(「サンデー毎日」2012年3月18日号)に拠る。
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【震災】原発>東京湾に放射能汚泥が堆積中 ~海の汚染~

2012年03月09日 | 震災・原発事故
(1)福島県沖
 福島の漁師は、原発事故以来、操業自粛を強いられている。妻子はおろか、漁師自身、「怖くて食べられない」。
 農水省がまとめたセシウムの検査結果によれば、福島県沖では今年に入ってから593点の魚介類を検査。
 シロメバル3,100Bq/kgを最高に、11種42点が、出荷制限対象となる暫定規制値(500Bq/kg)を超えた。汚染の出方は魚種によって不均一だが、汚染レベルは高止まりしている。
 ただし、仮に4月から厳しく見直される暫定規制値(100Bq/kg)を適用すると、ヒガンフグ、ホッキガイなど30種159点が出荷制限となる(全体の26%)。

(2)東京湾
 福島以外の海域で、新たな懸念を指摘する専門家もいる。わけもて注目されるのが東京湾の海底汚染だ。 
 今年、一部の魚から微量ながら汚染が見つかった。千葉県船橋市沖のスズキから16Bq(1月23日)、東京都江戸川区沖のスズキから9Bq(2月24日)が検出された。
 ここ半年間、汚染が見つかっていない江戸前のマアナゴなど魚介類も、この先、湾の汚染が進めば、汚染が見つかる可能性がある。
 東京湾の汚染は、地表に降下したセシウムの流入が原因だ、とする見方が強い。
 旧江戸川河口の泥では、最高値800Bqほど。今のところ首都圏の土壌と同じ程度の汚染レベルだ。汚染濃度のピークは、原発事故から2~3年後だ。ピーク時の濃度は今より極端に上がることはなくても、湾全体に汚染が広がる可能性がある。ピーク時に魚にどんな影響が出るか、予測できない。【山崎秀夫・近畿大学教授】
 原発近くの海底にたまった高レベルのセシウムが汚染源となり、徐々に流れ出し、海岸線に沿って南に流れる沿岸流により千葉県の房総半島を回り込み、東京湾の入り口まで辿り着いているかもしれない。今後の廃炉作業工事の過程で、地下水などを通じて新たなセシウムが海に流入しないとも限らない。海のモニタリングの継続が不可欠だ。【山崎教授】
 海底の泥の中に棲む生物を餌にする魚介類がいる。ために食物連鎖によって汚染が広がる可能性はある。東京湾で獲れる主な魚介類のスズキ、アナゴ、アサリ、シジミなどは漁期に合わせて引き続き検査する。【東京都の担当者】

(3)日本の海全体
 福島第一原発の20km圏内の海底土は、原発にごく近い場所の汚染は極端に高いものの、全域は東京湾の汚染濃度とさほど変わらない。にもかかわらず魚の汚染には大きな差がある。東京湾ではセシウムが粘土にくっついた状態で海へ流れ込んだのに対し、福島では原発からセシウムが直接流入した。ために、海中で浮遊しやすく、プランクトンを介して生態濃縮を起こしているおそれがある。回遊魚が南北に汚染を広げていることも想定される。【山崎教授】

(4)汚染の北限 ~北海道東端~
 海洋汚染は、北海道東端の北方領土付近まで広がっている。昨年10月から、検出例が相次いでいる。室蘭市沖のマダラから70Bqが検出された(1月)。北海道根室沖海域(福島第一原発から750km)で獲れたマダラから31Bqが検出された(2月)。
 マダラは沿岸に棲息するとされる。福島周辺から北上してくる海流はない。海水の定点観測結果は不検出だ。宮城県沖の海水検査でも不検出が続く。道内の陸地にセシウムはほとんど降下していない。海に流れ込んだ可能性もない。だから、マダラの汚染源として考えられるのは、汚染海域から回遊してきた小魚だ。これを食べた可能性だ。【北海道の担当者】
 昨夏北海道沖で獲れたサンマの複数からセシウムが検出された。サンマは回遊魚だ。マダラの餌になる。

(5)汚染の南限 ~神奈川沖~
 前記農林省のデータのうち沿岸に棲むヒラメなどの数値を比較すると、汚染の南端は、神奈川沖辺りにありそうだ。
 江の島先で獲れたカンパチから59Bqが検出された(昨年10月)。同じ海域のシイラから21Bqが検出された(昨年11月)。小田原市沖(原発から直線距離300km)ではヤマトカマス、ヒラソウダ、ブリから9~19Bqが検出された(昨年10月以降)。 
 黒潮があるため、海流で福島からセシウムが流れ込むことは考えにくい。陸地に注いだセシウムが雨に流され、川を経由して海に流入し、汚染した餌を食べた魚に移ったのだろう。【神奈川県の担当者】
 伊豆半島を越えた静岡県御前崎市沖でも、昨年10月以降、沿岸の魚介類から0.2~1.1Bqを検出している。
 海の汚染はいつ収束するのか。

 以上、大場弘行(本誌)「江戸前はどうなる 東京湾に放射能汚泥堆積中」(「サンデー毎日」2012年3月18日号)に拠る。

 【参考】「【震災】原発>食卓の放射能汚染、2012
     「【震災】原発>海洋汚染の拡大・・・・表層から海底へ、海のホットスポット、陸から海へ
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