語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>海洋汚染の拡大・・・・表層から海底へ、海のホットスポット、陸から海へ

2011年07月14日 | 震災・原発事故
(1)海の表層から海底へ
 5月上旬までは、水産庁のまとめによれば、基準値を超えた海産物は「海の表層に棲む魚」に限定されていた。
 しかし、放射性物質による水産物の汚染は、海底に広がっている。
 5月下旬、グリーンピースが発表したデータによれば、福島県の海から採取したエゾイソアイナメから、国の基準(500Bq/kg)の1.7倍、857Bqの放射性セシウムが見つかった。エゾイソアイナメは海底に棲む。マナマコ、カキ、コンブなど11種類14サンプルからの海洋生物からも国の基準を超す放射性物質が検出されている。
 6月、自治体が進める調査でも、海底に棲むタイプの魚介類から、基準値を超える放射性物質が次々に検出され始めた。福島県沖では、水深117~128mのところで採取したエゾイソアイナメのほか、水深42~63mで採取したアイナメからも基準を上回るセシウムが検出された。いずれも「底魚」だ。
 6月以降、底魚のイシガレイでも基準値超えが確認された。
 時間の経過とともに、食物連鎖でセシウムが移行しつつあるようだ。【石丸隆・東京海洋大学教授】
 福島県沖では、貝類にも魚と同様のことが起きている。これまでは波打ち際近くの岩場などに付着するムラサキイガイ(ムール貝)で汚染が目立っていたが、5月下旬以降、海底の砂に潜って暮らすホッキ貝で基準値を超す放射性セシウムの検出が続いた。

(2)海のホットスポット
 陸上と同じように、海底についても、汚染のホットスポットがパッチ状に形成される。一方では海底には流れが速く泥がたまりにくい場所があり、他方では泥とともに放射性物質が蓄積しやすい場所がある。後者がホットスポットになる可能性がある。海底の窪みなども同様に、汚染のホットスポットになる恐れが高い。【花輪公雄・東北大学大学院教授】
 文部科学省が海底の泥を定点観測するため設けた観測地点は、宮城県沖から千葉県沖にかけて計12地点だ。
 観測地点が少なすぎる。海底のホットスポットを明らかにするためには、観測の密度をもっと高めなければならない。【花輪教授】

(3)陸の汚染が海へ
 福島第一原発から汚染水が新たに放出されなくても、海の汚染がさらに起きる可能性がある。今回の原発事故では、大気を経由して土壌に広く放射性物質が降り注いだ。その放射性物質が、梅雨や台風に伴う大雨などで川に押し流され、海へと注ぐ恐れがある。特に放射性セシウムは、土の表面や浅い場所にとどまるから、雨によって川へ流されやすい。土壌の粒子とともに海へ流れこめば、沿岸の海底にたまり、新たな海産物汚染につながる可能性がある。セシウム137の半減期は30年だ。「見えない汚染」と闘うには、調査地点を増して汚染を少しでも「見える」ようにするしかない。【長尾誠也・金沢大学教授】
 海底の泥の中に堆積した放射性物質は、簡単には移動しない。海底の生物をエサにしている底魚については、今後さらに注意して見ていく必要がある。【石丸教授】

 以上、山本智之(朝日新聞科学医療グループ)「魚で進む『放射能濃縮』」(「AERA」2011年7月18日増大号)に拠る。
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