よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

米国の運命は『GMとともに』なのか!?

2009年02月19日 | 恐慌実況中継

この本の背表紙を見ると複雑な思いがよぎる。米国の運命は『GMとともに』にあるのだろうか。

ビルゲイツをして「ビジネス本で一冊だけ読むとしたら、この本だ」と言わしめた一冊。総ページ数が500ページを超える大作だ。アルフレッド・P・スローン財団が寄付した大学院プログラムに在学しているときは、もちろんこの本が必読の一冊とされていた。

そのGMがいまや虫の息になっている。20世紀初頭,T型フォードに経営資源を集中させていたフォードに対抗して、いろいろな車体メーカー、部品メーカーをM&Aで集約してゼネラルモーターは多品種戦略を打ち立て成功をおさめた。自動車史、米国産業史上に燦然と輝く米国企業なのである。その米国の象徴のGMが倒産しつつある。

GM社とクライスラー社は今月17日、米財務省に再建計画を提出し、GM社が166億米ドル(約1兆5514億円)、クライスラー社が50億米ドル(約4672億円)の追加支援を要請した。GM社では、昨年12月に受けた「つなぎ融資」の134億米ドル(約1兆2523億円)を合わせると、融資総額は300億米ドル(約2兆8037億円)に達する。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙はインターネット上で「政府はGM社、クライスラー社に資金援助を行うべきか」とのアンケート調査を行った。その結果84.7%が「援助するべきでない」と答え、「援助すべき」と答えた15.3%を大きく上回った。

85パーセントの救済反対論は:

・GMは環境対策、エコカーの開発では大きく出遅れ、とるべきイノベーションを創発できなかった。経営の不作為だ。
・GMは車をローンで買う消費者とローン会社に大きく依存しクレジットエコノミーの主役でしかなかった。
・なによりも一私企業に税金を投入するのは間違いだ。

かたや、15パーセントの救済賛成論は:

・実際にGMやフォードが倒産すれば失業者の急増を招き、米国経済への深刻な影響は避けられない。
・経済の回復の兆しが見られなければ、国民の政治不信につながる。

シュンペーターは、経済活動における新陳代謝を創造的破壊と呼んだ。また、資本主義は、成功ゆえに巨大企業を生み出し、それが官僚的になって活力を失い、社会主義へ移行していくと予言した。現下アメリカには、紛れもなく「シュンペーター過程」=法則が顕れて疎外が発生している。

米国政府はGMとクライスラーの再建計画を精査した上で、3月末までに計画を承認するかどうか判断する。承認しなければ融資の即時返済を求め、経営破綻となるだろう。アメリカを象徴するGMとクライスラーの破綻の火砕流は一気に裾野の産業を巻き込み、製造業=実物経済の連鎖倒産となるはずだ。こうなると、市況を悪化させ、市場センチメントも一気に悪くなる。

そうなれば半年前に予測した恐慌のシナリオがまた一歩進む。


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