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つるべ落としとはGMの株価のことだ。そしてGMの再建計画が難航しているというより、膠着している。
債権計画のメドがつかなければ、連邦倒産法第11章(Chapter 11)あるいは、もっと厳しい倒産法を適用することも辞さないとオバマは腹を固めたようだ。
オバマ米大統領は、「すでにつらい譲歩をした労働組合や従業員に、さらなる譲歩が求められるだろう。債権者は、いつまでも政府による救済を期待して粘ることはできないとの認識が求められる」と明瞭なサインを送っている。
つまりGMを一度倒産させてから再建するというシナリオに突き進んでいる。倒産させてからのほうが、組合も無理難題をガタガタ言わなくなるだろうし、もうこれ以上税金をドブに捨てるようなことはできない、というわけだ。
ただし、経営陣がChapter 11を口にしたとたん、労働組合側は労働者保護の権利を行使し、大規模なストライキを敢行すだろう。しかし、倒産しかけた会社でストライキをしてもさらに首を絞めるだけ。いったいなんのためのストライキか、組合幹部は重い自問自答をしなければなるまい。
会社の出口には2種類ある。幸福な出口とそうでない出口だ。幸福な出口は、株式公開、M&Aによる売却。あまり幸福でない出口は、倒産、破産、清算。いずれにせよ、これらのコースには、資本主義の法則が貫徹される。法則が貫徹されるところに疎外が生じる。畢竟、これがマルクスの疎外論の要諦。
GMのような大企業の経営者も、中小やベンチャー企業の経営者も経営者であることに変わりはない。そう名著「GMとともに」をリーディング・アサインメントとしてGMのアルフレッド・P・スローンが寄贈してできたビジネススクールで習った。
経営者は資本主義の体現者なのだ。自らが行動して資本主義の法則を貫徹させ、みずからにもその法則を貫徹させる。そして自らを疎外させるのである。この過酷さ、修羅場を皮膚感覚で知るものはたぶん経験者だけか。
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<GMヘンダーソン社長>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/c1/41e45ff43afad4e44f65dea19cf25cfd.jpg)
<エドワード・ギボン>
ワゴナー氏の後任のヘンダーソン社長は、強烈なストレスに苛まれ、苦渋の決断をせねばなるまい。よりよい状態を目指す、良い決断は簡単だ。より悪くない状態を目指す、より悪くない決断は難しい。
敗戦処理屋=ヘンダーソン社長は、「GMとともに」、「より悪くない決断」をリアリスティックに行うことになろう。世のマスコミはいろいろ書き立てるだろうが、嵐が去ったらヘンダーソン氏は静かに本を書けばよい。
その本の題名は、「GMとともに~パートII~」、あるいは「GM帝国衰亡史」(The History of the Decline and Fall of the GM Empire)か。ひげをそれば、ヘンダーソン氏なんとなくギボンにも似ている。
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