放射線を発する物質を含む食物を人間に摂取させないようにする食料安全基準が大幅に甘くなってしまった。まさかの時、平常時を問わず、国民の安全を守るためのものが規準である。
科学的な知見を集大成し、国際的な学会の知見などを動員して長期間にわたって実行されてきた安全基準。
ところが原発事故を境にして大幅に規準が甘くなった。暫定基準値というものだ。
上図のようにその甘さは海外の国々と比較すると異常だ。いったいなんのための規準なのか?
3.11以前の正しい規準をあてはめると、膨大な量の食料がアウトになってしまう。それでは生産者も困るし、損害賠償も巨額になる。食料需給が狂い、安全食料の価格が上がってしまう。この国をガバナンスする為政者にとってそれは都合のよいことではない。
だから、規準を大幅に甘くして暫定規準を作りなおした。暫定規準とはウソの規準である。
危機管理、安全管理の大前提として、「人は過ちをおかすもの」という命題がある。基準管理においても、「人は過ちをおかすもの」という命題が当てはまるのである。この命題は実におそろしい。なぜなら、今回明らかになりつつあることは、「人は過ちをおかすもの」と知りながら、正々堂々と政府が間違いを確信的に侵しているのだから。危機管理、安全管理、基準管理、総崩れなのだ。
何年かして、疾患、健康被害が発症しても、「因果関係はかならずしも明確でない」ということにして、ウヤムヤにして逃げ切るのだろう。
そしてウソの規準を作って汚染された食物を国民に食べさせる、ということになった。国民の健康を守ることを放棄したのだ。
「民」を中心として、「民」が「主」の体制を民主主義体制という。あきらかに反民主主義的な行いだ。民主主義の衣を着たフィクシャスな体制は、それを守ろうとしているのだが、実は、崩壊の途上にあるのである。
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