英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

「中国発」の振り込め詐欺にご用心     なぜ被害が増えるのか

2014年01月15日 11時00分03秒 | 時事問題
 殺人などの凶悪犯罪は減少しているのに、なぜ振り込め詐欺など「特殊詐欺」が激増しているのか。年間被害総額が初めて400億円を超えた。朝日新聞によれば、中国に拠点を置き、日本にだましの電話を掛ける組織も数年前から現れているという。
 狙われるのは65歳以上の老人で、全体の8割を占める。筆者も65歳になった。被害対象の仲間入りを果たしたわけだ。あまり名誉なことでもない。筆者が認知症にでもなれば、将来、振り込め詐欺師のターゲットになる可能性が高い。
 年々増加している中国発の振り込め詐欺は、日本の元暴力団組員も入っているという。「警察の者です」と言う語り口で始まるという。そして「振り込め詐欺の被害金があなたの名義の口座に入っている。口座凍結を防ぐ手続きを銀行協会の者に説明させる」(朝日新聞の記事)とたたみかける。金融機関が窓口を閉じる午後3時までが勝負だという。弁護士役、銀行協会役、警察役の役割分担があり、3-4人が電話口で被害者を信じ込ませる。被害者をだますと、金を受け取る「受け子」を手配するため、日本に連絡。日本にいる者が被害者宅へ直接言って金を受け取る。「担当者がお宅に行くから、お金を渡すまで電話は切らないで」と言って、被害者がほかの人に電話をして相談する機会を奪うという手の込んだ作戦だ。
 日本人は、ほかの民族と比べて、権力や権威を信じ込む傾向が強い。「警察」「銀行協会」という言葉を発せられると、信じ込みやすい。日本ではそれだけ警察官や銀行員は誠実ということになる。中国人なら警察や銀行員を信じることはないだろう。少なくとも日本人のように信じ込むことはないだろう。中国人はお上を信じない。これは紀元前からの中国の伝統かもしれない。警官らお役人は権力を乱用し、賄賂を受け取ることに精を出す。このような役人が日本に比べて断然多い。
 考えてみれば、警察官と銀行協会員が同じ場所にいるわけがないのだが、老人は冷静さを欠いてしまうのだろう。特にご老人がそう思うのも無理はない。独り暮らしの老齢者や、持ち家に住んでいる老夫婦が被害に遇うケースが大多数ではないかと思う。老人ホームに入所しているご老人はまず安全ではなかろうか。魔の電話を直接受けることはない。そこにはホームの従業員が中に入る。詐欺師はホームに電話しなければ老人にアクセスできない。ただ、携帯電話が常態化している現在、携帯電話に直接アクセスすることもできるが、どれだけ携帯電話を自由に老人が使えるか、疑問だ。アクセスできたとしてもお金を受け取るのは難しいだろう。それでもホームの従業員をだますこともできるかもしれない。ホームの従業員は「振り込め詐欺」を念頭に置いて行動する必要があるかもしれない。
 老人にとって貯金は残りの人生を生きていく上での「命綱」。これを奪う奴は卑劣だ。いかに詐欺師を非難しようとも、今後も「振り込め詐欺」は増加し続けるだろう。そして中国人も参戦してきた。
 独断と偏見で言えば、中国人の現実主義、冷徹な利害損得勘定主義、「海賊版」や製品にみられる模倣。2000年も続いてきた「家族主義」から身内の互助精神はうらやむほど強いのだが、「家族主義」の城壁の外にいる人間には何をやっても悪びれることはないという悪弊がある。
 日本の老人が振り込め詐欺にだまされないように祈るほかはない。最後に朝日新聞が振り込め詐欺の実態に詳しい元暴力団組合員から証言を得て作成した「振り込め詐欺にあわないために」を添文する。
 ●非通知発信の電話は無視を=詐欺電話は発信元非通知でかける。発信元の電話番号を表示される型の電話で相手の確認を●警察や銀行協会を名乗る電話は信用しない=相手には所属と連絡先を聞き、「いったん切って折り返す」と答える。だます側はそれで諦める●「お金を取りに行く」と言われたら即座に電話を切る=「この言いぐさは詐欺師しか使わない」●おかしいなと思ったら町会や自治会に相談を=「住所の番地が連続したリストを基に電話をしていることが多い。あなたをだませなかったらお隣さんに電話する。地域ネットワークで対応を」