今年の世相を表す漢字が
「安」という文字です。
安全関連法案の「安」
世の中不安になるの「安」
「安」という字も辞書を引いてみると
うかんむりに女と書きます。
うかんむりは家のことで、
家の中に女性が静かに座っている
その様を表す言葉です。
なるほど、
女性が安心しておれる世界は
平和で安らかのでしょう。
ということでしょうか、
最近では女性の目線で
いろいろな取り組みが
なされているようです。
車ということは男性のあこがれ
というか、男をターゲットにした
販売戦略が練られていたようです。
そこを、日産はあえて女性の目線で
女性の従業員が女性の立場に立った
店の飾りとか、キッズコーナーを
作ったり、女性が乗って楽しい車
そういう取り組みをしているようです。
おもしろいもので、
お寺も女性の目線で考えないと
繁盛しないようです。
あまり、男性の信者というのは
少ないように思います。
だから、女性の心をつかまなければ
お寺は成り立たないのです。
「安」という字はお経の中にも
よく出てくる言葉です。
「安心」とか仏教では(あんじん)と
読みます。
「安居」(あんご)といって、
お釈迦さまも雨季にあたるこの時期
静かに一所にいて瞑想したり
講義を開かれたりと、
そういうことをされていたようです。
西洋の人に比べて、
お釈迦さまの死は実に安らかで
静かであると、いっておられた方が
いらっしゃいましたが、
涅槃のお姿を見るとまさに
そのような姿です。
悟りの世界ということを表すのに
安らぎの世界、という表現を
とるようです。
心安らかに落ち着いている
ということが、
仏教の世界を象徴しているようです。
「安」の反対は「不安」という
ことですが、
ただ単に、不安で落ち着かないと
おろおろするより、
「不安に立つ」
ということもあります。
今の世の中を見て「安心」というのは
鈍感といってもいいでしょう。
不安といって嘆くより、
あえて不安を背負っていこうと、
不安を逃げ出すのではなく、
不安の中に自分の身を置くと。
よくよく見たら不安だらけです。
その不安の中にしっかりと
大地に足を付ける。
「十地経」でいう「地」ということですけど、
その立つ地が見つかった。
そういうことが本当の
安心、「あんしん」ではなく、「あんじん」
ということがあるようです。