hiyamizu's blog

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朝日新聞社会部『母さんごめん、もう無理だ』を読む

2016年11月27日 | 読書2

 

 

朝日新聞社会部著『母さんごめん、もう無理だ きょうも傍聴席にいます』(2016年3月10日幻冬舎発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

裁判所の傍聴席で日々取材をする記者が、強く心に残った事件の裁判の模様を綴る、朝日新聞デジタルの連載「きょうも傍聴席にいます」。 
・・・013年5月から2015年末までに掲載された全29編を収録しました。 
法廷は人生と世相の縮図。一線を越えてしまった人たちの、 生(なま)の言葉と息づかいが、深く心を揺さぶります。

 

「ただ、私は妻と一緒にいたかった。妻を一人にしたくない、人に任せたくない・・・」と精神病の妻の首を絞めた夫(76)。

 

資金繰りが苦しくなり複数の知人女性から借金した男(38)は、やがて結婚詐欺で8人から1250万円をだまし取った。

 

夫の借金600万円を返すため覚せい剤の運び屋になった妻(61)。

 

 

「母さんごめん、もう無理だ」

100歳まで頑張る――。そう話していた98歳の母の首に、74歳の息子が手をかけた。

裁判長「被告人を懲役3年に処する。5年間その刑の執行を猶予する」

認知症の母との2人暮らし。被告はうつ病。

  判決の際、魚谷被告を執行猶予とした理由について裁判長はこう述べた。

「犯行当時、うつ病で介護が困難だったうえ、動機も病気が大きく影響していて強く非難することはできない。今後は病気を治して、娘さんに相談するようにしてください」

・・・

 裁判員「殺さなければよかったと思いますか?」

 男は、迷うことなく、こう答えた。

「いまが一番苦しい」

 

 初出:『朝日新聞デジタル』連載「きょうも傍聴席にいます。」2013年5月30日~2015年12月30日

 

 

私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

 

「あとがき」にあるように、刑事裁判担当の記者がこう嘆いた。

「いま取材している裁判で100行書きたい、30行じゃあ、とても書けないですよ」

こうして、ほとんど記事にしてこなかった「小さな事件」の裁判がネットに上がり、『朝日新聞デジタル』の連載「きょうも傍聴席にいます。」が始まったという。

 

コラム「記者の目②」にはこうある。

裁判で語られたことを淡々と書くだけだ。どうすべきだったのかの答えはないし、書くこともない。ただ、公判で明らかになるちょっとした事実は被告人や証人の何げない一言に、思わずみんなが考えてしまう何かがある気がしている。

 

しかし、それでもこの本にあるように1件数ページでは、事件の掘り下げが足りない。中途半端な内容だ。本にするなら、読む人の心を打つなら、29もの事件を扱うのではなく、数件の事件に関して深く取材した内容を書くべきだ。ちょっとした情報はそこいらじゅうに溢れている。

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