hiyamizu's blog

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穂村弘『現実入門』を読む

2011年12月23日 | 読書2
穂村弘著『現実入門 ほんとうにみんなこんなことを?』光文社文庫ほ5-1、2009年2月光文社発行、を読んだ。

40代の男性としては異様に「人生の経験値」が低い歌人の穂村弘が、さまざまな分野の「初体験」に挑んでいく。

前作『世界音痴』で穂村さんが未経験の項目は、「独り暮らし」「結婚」「離婚」「子供をもち」「親の死」「家を買う」「転職」「料理」「洗濯」「骨折」「手術」「海外旅行」「ソープランド」「献血」「選挙の投票」「ボタン付け」「犬、猫を飼う」「髪型を変える」「お年玉をあげる」で、経験済なのは「就職」だけで、その後経験したのは「しゃぶしゃぶ」だけだった。

ある日、美人編集者のサクマさんがやって来て、初体験の事柄に挑戦してエッセイを書くという話を持ってくる。穂村さんはサクマさんも一緒に挑戦すると話にのってしまう。
さっそく、献血、モデルルーム見学、占い、合コン、角田光代さんお勧めのはとバス旅行、結婚式場見学、健康ランド、一日お父さん、競馬場、相撲観戦。
そして、最後が、パラサイトシングルを脱出して住むための家探し。

途中、祖母を訪ねる話と、女優の本上まなみと編集者の沢田康彦さんの結婚式に出席する話がはさまっている。三人は短歌作りの仲間なのだ。本庄さんの歌も6首ほど掲載されている。いわゆる短歌ではなくニューウェーブ短歌(?)だが、TVやエッセイの印象通りの素朴でやさしい歌だ。

解説を、この本にはまってしまった江國香織が書いている。

初出: 『小説宝石』に連載された「ふるふる初体験」の単行本化をさらに文庫化したものだ。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

ともかく面白い。キラキラ、テキパキとヤル気のあるサクマさんと、オドオド、グズグズしすぐ妄想に走る穂村さんの対比が可笑しみを増殖する。

最後に結婚のために花荻窪で家探しとあるが、実際は西荻窪。また、サクマさんと結婚と暗示させるかのような文章だが、サクマさんは架空の人物で、実際は司書の方と結婚して古本屋巡りを楽しんでいる。



穂村弘 ほむら・ひろし
1962年5月北海道生れ、名古屋育ち。北大入学し、すぐ退学し、上智大学入学。卒業後、SEとして就職。
1989年第1歌集刊行。
2002年初エッセイ『世界音痴
2008年結婚、『短歌の友人』で伊藤整文学賞受賞

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