hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

スキーと温泉の思い出

2024年01月03日 | 昔の話2

 

若い頃親しんだスポーツと言えば、夏はテニス、冬はスキー、春秋はゴルフだった。とくにスキーにはハマった。シーズンになるのを待ちきれず、当時所沢にあった室内スキー場の開場日、11月1日に毎年駆けつけ、足慣らしをした。冬になると会社の階段を、ストックをついてスキーで滑る格好で降りて、イメージトレーニングしたものだ。
スキー場でも朝早くからナイターまで一日券を買って滑りまくった。不格好でも、ともかく転ばなければいいのだろうと、ゆるやかなゲレンデは避けて、急斜面を求めて挑戦する日々だった。あのころは、シーズン中、合計20日以上、上越、志賀、蔵王や、八方などのスキー場で過ごした。仕事していたのだろうか?

30歳も近くなり、どんな急なところでも、それなりに滑り降りることができるようになると、さすがにガツガツ滑らなくなり、朝遅く宿を出て、昼休みをたっぷり取り、3時ごろにはゲレンデ下の喫茶でのんびりするようになった。

 

そして、はや半世紀前になってしまったが、あの5月の連休、八甲田山での山スキーが独身最後のスキーとなった。
友人と2人で八甲田山の麓の酸ヶ湯(すかゆ)温泉に宿泊した。朝9時ごろ宿を出て、スキーを担いで、5月上旬でもまだ一面の雪景色の八甲田山へ登る。2時間くらいただただ登る。
いやになって、適当にこのあたりでよかろうとスキーを履いて滑り出す。ところどころにある立ち木を避けながら、滑る。表面だけが硬くウインドクラストしていて、強く踏込まないとテール(スキー板の後ろの部分)が落ちず、曲がれない。ジャンプしてドスンとばかり、雪を踏みつけて曲がる。
2時間かけて登って、20分たらずで降りてきてしまうのだから、山登りのご褒美にスキーがついているようなものだ。午前中一本、午後一本がせいぜいで、3時ごろにはもう宿の温泉に浸かっていた。

 

江戸時代から湯治場として有名な酸ヶ湯温泉には、総ヒバ造り、木造の高い天井の建物があって、中に大浴場「ヒバ千人風呂」があり、160畳の広さに熱の湯・冷の湯・四分六分の湯・湯滝など4種の源泉がある。
一番大きいのが、入口を入ってすぐのところの「熱の湯」だった。当時は時間分けもない混浴だったのだが、女性は地元のお年寄りばかりだった。たまに湯船の端の方に中年の女性が居ても、ガーゼ生地のじゅばんのようなものをはおっている。

 

混浴とは言ってもどうせそんなものだろうと思っていたら、突然、女性の明るい声がした。振り返ると、髪が長い男性と話しながら若い女性が湯船に近づいてくる。2人とも当時はやりのヒッピー風だと思えた。女性は前をまったく隠さずあっけらかんと歩いてきて、湯船の縁に腰掛ける。熱の湯の男性が一瞬凍りついた。私はたまたま湯船の入口側に居たのだが、向こう側の湯船のへりにずらりと並ぶ男性陣がびっくりまなこで入ってくる女性を見た後、あわてて目をそらす。そして、だれもかれも、左右に目を泳がせてから、一瞬途中で女性を見て、またあわてて目をそらし、無関心をよそおう。私は、女性を見るより、向こう側の男性たちがそろって同じしぐさをするのを眺める方が面白かった。しかし、かくゆう私も向こう側に居たならば、きっと彼らと同じことをしたのだろうが。

そして、齢をかさね80歳を過ぎた今だったら、……「ウーン、やっぱり……」。

 

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2 コメント

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Unknown (tsubone)
2024-01-03 11:58:35
喪中なのでおめでとうとは言えませんのでこんにちは

私もスキーはハマり群馬県内 新潟 蔵王 ニセコなどずいぶん行きました。八方尾根はどこも難しかった記憶があります。
経験値よりオットや子供より上手いので、孫に教えてやってと要請されてますが、それは無理!あたしの歳を考えてよ!と断ってます。

冷水様の混浴の描写があまりにも面白くてブログ上の初笑いさせていただきました。

今年もどうぞよろしくお願いします。
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tsuboneさま (冷水俊頼)
2024-01-03 17:02:32
「70代はちょっとした段差で転び、80代はなんにもない所で転ぶ」と樋口恵子さんが言っていまいた。81歳になった私はスキーなどまったく考えられませんが、tsuboneさんはまだまだなのでは?

今年も貴女のブログ、楽しみにさせていただきます。
返信する

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