hiyamizu's blog

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柚月裕子『風に立つ』を読む

2024年05月01日 | 読書2

 

柚月裕子著『風に立つ』(2024年1月10日中央公論新社発行)を読んだ。

 

中央公論新社の電子版の内容紹介

問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度――補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて……。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!

 

盛岡市にある小さな南部鉄器工房『清嘉』営む小原孝雄は、無口で職人気質の親方であるのに、突然非行少年を一定期間預かる「補導委託」を引き受けたと言う。これまで自分の子供の世話もろくにしなかった身勝手な人間なのにと、息子の38歳の悟は反発する。

孝雄の工房には、還暦近い健司やバイトの八重樫、そして市内の居酒屋に嫁いだ妹の由美もときどき手伝いに訪れる。工房の皆は、あけすけだが、こだわりなく、優しく、預かった16歳の少年庄司春斗に接するのだが、春斗は何か屈折を抱えて、心を閉ざしたままだった。

 

春斗は、弁護士の父・達也と、母・緑と心がすれ違っていることが歴然としてしまう。そんな春斗が、伝統行事のチャグチャグ馬コに興味を持ち、動物と触れ合い、少年らしさを取り戻していく。

 

初出:「読売新聞」夕刊2022年4月15日~2023年4月15日

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

すらすらと読め、面白くないわけではないが、話の筋は平凡。

悟は、父孝雄の職人としての腕には敬意を持っているが、無口で、優しい言葉一つもかけることなく、母にも自分にも構うことがほとんどない父親を冷たい人間と思っていた。その父が突然問題をおこした少年の更生に力を貸そうと言うので驚き、反発する。この展開から、しかし……と、過去に……なることが予想できてしまう。

 

この親子の中に、少年春斗が投げ込まれ、問題を起こすことで、悟の心に……と、期待とおりに進む。不器用な男同士の父息子にはありそうな話だが、一緒に暮らし、仕事も一緒なら、その心の中は気づきそうなものだ。

 

貧しい時代に這い上がった春斗の父が子供の安定を望み、春斗が金を十分稼げなくてもやりたい仕事に進みたいというのも、よくある話で、それ以上でない。

 

 

柚月裕子の略歴&既読本リスト

 

 

 

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