瀬尾まいこ著『そしてバトンは渡された』(文春文庫せ8-3,2020年9月10日文藝春秋発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない〝父〟と暮らす。血の繋がらない親の間をリレーされながらも、出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。大絶賛の2019年本屋大賞受賞作。 解説・上白石萌音
文藝春秋BOOKSの内容紹介は以下。
私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。
高校二年生の森宮優子。
生まれた時は水戸優子だった。その後、田中優子となり、泉ヶ原優子を経て、現在は森宮を名乗っている。
名付けた人物は近くにいないから、どういう思いでつけられた名前かはわからない。
継父継母がころころ変わるが、血の繋がっていない人ばかり。
「バトン」のようにして様々な両親の元を渡り歩いた優子だが、親との関係に悩むこともグレることもなく、どこでも幸せだった。
優子は森宮に言う。「森宮さん、次に結婚するとしたら、意地悪なひととしてくれないかな」……「…保護者が次々替わっているのに、苦労の一つもしょいこんでないっていうのもどうかなって。 ほら、若いころの苦労は買ってでもしろって言うし」(p12、13)
「梨花が言ってた。優子ちゃんの母親になってから明日が二つになったって」…「そう。自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、やってくるんだって。親になるって、未来が二倍以上になることだよって」(p315)
優子:地味で慎ましやか。水戸優子は2歳で母を亡くす。小3の時、35歳の父・水戸秀平は27歳の田中梨花と結婚。小5の時、秀平はブラジル勤務になり、離婚した梨花と田中優子となって暮らす。ピアノが欲しい優子のために梨花は金持ちで49歳の泉ヶ原茂雄と結婚したので、泉ヶ原優子となる。35歳の梨花が家を出て中学の同級生の森宮壮介と結婚し、優子を引取ったので森宮優子となる。2か月で梨花は1人で出て行った。結局、父親が3人、母親が2人。家族形態は17年間で7回も変わった。
森宮:17歳の優子の37歳の父親。頭が良くて一流企業勤務だが、魅力的ではなくて、何かずれている。
梨花:自由を愛する。
向井先生:優子の高校2年の担任教師。冷静で厳しいがしっかりしている。
田所萌絵、佐伯史奈:優子の高校の友人。
脇田:高校で優子が付き合う。
早瀬賢人:優子が気になる。ピアノが上手。
歌「ひとつの朝」:35年前のNコン高校の部の課題曲。
単行本は2018年2月に文藝春秋より刊行。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
前半の小学校~高校の学校生活の話におじいさんは興味を持てない。
主人公の優子の一見しらけたような無感動さや、別れた親たちにまったく連絡をとらない冷たくみえる態度に??? 優秀なはずの森宮の見当違いの対応に、「こんなのあり?」と思ってしまう。梨花の秘密も、よくある話といえば言えるので、感心しなかった。
餃子などごく普通の料理・食事の場面が多くでうんざり。
歌手・俳優の23歳の上白石萌音が解説しているのにびっくり。