hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

島本理生『イノセント』を読む

2020年03月31日 | 読書2

 

島本理生著『イノセント』(2016年4月30日集英社発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

イベント会社代表の真田幸弘は、数年前に函館で出会った若い女性・比紗也に東京で再会する。彼女は幼い息子を抱えるシングルマザーになっていた。真田は、美しく捉えどころのない比紗也に強く惹かれていく。一方、若き神父・如月歓は比紗也と知り合い、語り合ううち、様々な問題を抱える彼女を救おうと決意する。だが、彼女は男たちが容易に気づくことのできない深い絶望を抱えていて―。新・直木賞作家が描く、愛と救済の物語。魂に響く傑作長編小説。

 

過去があまりにも重いモテ女と、軽るさに自分でもいやになるモテ男と、暗い過去を秘めた堅物の神父の三角関係。

 

真田幸弘:東京で会社を経営。函館で比紗也と出会う。モテるが、実がないのでそれ以上に進まない。
徳永比紗也(ひさや)函館で真田と出会ったときは23歳で芳紀の子供がお腹にいた。数年後東京で再会時は、シングルマザーになっていて、美容室勤め。生まれた子供・紡(つむぐ)は保育園。魅惑的、奔放そうで家庭的。

如月歓:カソリック教会の神父。中学の時から、頭の中で「声」がして、悪いことをした。

猪瀬桐子(キリコ):真田と大学の時からの友人。成績優秀な営業職。口が悪い。

 

キリコは言う。

「真田君はねえ、優しすぎるのよ」……「褒めてないわよ。自分に関係ないと思えば、人間はどこまでも無限に優しくなれるの。真田君はね、究極、負う気がない‥‥じゃないね。負うっていうことがどういうことか本質的に分かってないんだと思う」

 

寮でと一緒だった聖は言う。

「‥神のやってることはさ、女性と一緒なんだよ。試す、疑われたら怒る、罰する、唐突に無償の愛を与えまくる。全面的に肯定するほど、つらい試練を与えてくる、あれはさ、究極、神様と恋愛してるんだ」

 

初出:「小説すばる」2014年10月号~2015年12月号

 

島本理生の略歴と既読本リスト

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

良く小説に登場する不幸な環境に育った男好きする美人。問題を起こし、抱え、助けたくなる男たちと複雑な関係になる。

喜寿になってしまった私は、どうにもこうにも比紗也に共感できない。相手が何を求めているかを知りながら身を任せるのは同類だということ。子供を預けっぱなしなのに。

 

モテ男の気持ちは私には想像もつかないが、真田の人となりと、最後の変化は理解できる。勧も最終的結果は荒れ以外に収まりようがないだろう。これは男たちの物語だと思いたい。

良く登場するキャラだがキリコがいいね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする