hiyamizu's blog

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マイクル・リューイン『沈黙のセールスマン』を読む

2020年03月03日 | 読書2

 

マイクル・Z・リューイン著、石田義彦訳『沈黙のセールスマン』(HMり-2、ハヤカワ・ミステリ文庫1994年5月10日早川書房発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

半年も入院したまま、面会謝絶で安否もわからない弟の様子を調べて。依頼人の女性は憔悴しきっていた。製薬会社でセールスマンとして働く弟が、会社の研究所で爆発事故にあい、以来、社の管理下にあるという。なぜセールス部門の者が研究所内の事故に? 不審に思ったわたしは、ガードの堅い会社側に揺さぶりをかける――十数年ぶりに再会した実の娘とともに謎を追う知性派探偵サムスン。シリーズの人気を決定づけた傑作。

 

アルバート・サムスン・シリーズの第4作

インディアナ州の州都でありながら人口流出に悩む地方都市インディアナポリスに住む主人公サムスンは、暴力嫌い、拳銃不所持、酒はそこそこという極めて普通人の私立探偵。しかし、お約束通りの偏屈で、へそ曲がりだ。ハメットなどのクラシック・ハードボイルドに次ぐ、ネオ・ハードボイルドと呼ばれるらしい。

 

アルバート・サムスン:私立探偵。41歳。収入が少なく、危機的。

マリアンヌ(サム):アルバートの娘。17歳。12年前に会ったのが最後。

 

ジョン・ピッギー:ロフタス製薬のセールスマン。研究所内の事故で所内の病院内に長期間入院。

リン・ピッギー:ジョンの妻。17歳で結婚、現在28歳。5年前に双子の娘を亡くす。

ドロシー・トーマス:ジョンの姉。最初の依頼人。

ウォルター・ウェストン:ジョンの弁護士

 

ジェイ・ダンドリ―:ロフタス製薬の研究員。博士。病院管理の責任者。

マーシャ・メローム:ロフタス製薬の研究員。女性。文学博士。

リー・シーフィールド:ロフタス製薬の研究員

レイ・マクゴニグル:ロフタス製薬の研究員。サムと付き合う。

P・ヘンリー・ラッシュ:ロフタス製薬の取締役

 

ジェリー・ミラー:警部補、アルバートの友人

ガートランド:ミラーの上司

 

 

マイクル・Z・リューイン Michael Z. Lewin

1942年、 アメリカ・マサチューセッツ州スプリングフィールド生れ。5歳でインディアナポリスに移住。

ハーバード大学を卒業後、高校教師。

妻・マリアンヌ(本書での娘と同じ名前)に薦められたチャンドラーの小説を読んで作家を志し、1971年渡英し、アルバート・サムスン主人公の『A型の女』でデビュー。

他に、アルバート・サムスン・シリーズの本書『沈黙のセールスマン』、リーロイ・パウダー警部補シリーズの『夜勤刑事』など。

 

石田義彦(いしだ・よしひこ)

1943年北海道生まれ。2006年没。ライターとしてミュージシャンに取材。翻訳家。

1970年早稲田大学法学部卒。

主な訳書、リューイン『A型の女』『内なる敵』、ライアル『黄金を紡ぐ女』など多数。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

主人公サムスンのの独り言のぼやき、皮肉などウィットに富んだ会話が面白い。テンポ良く進み、飽きることなく読める。
後半に取っ組み合いが若干登場するが、全体に地味で渋すぎる。

サムスンの娘が、探偵業に興味深々で、そして父親と働きたくて、一生懸命に一緒に捜査にあたるのが、作品を明るくしている。

ジョンが病院に何か月も留め置かれて、面会もできないという謎を引っ張りすぎ。
サムスンが警察の制止、ライセンスはく奪をものともせず強引に敵陣に突っ込んでいくことに説得力がない。

 

 

メモ

「人間は年をとればとるほど眠りが浅くなる。そしてそのかわりに、あとに深い永遠の眠りが待っているということかもしれん」(p281)

 

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