hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

マイクル・Z・リューイン『内なる敵』を読む

2020年03月09日 | 読書2

 

マイクル・Z・リューイン著、島田三蔵訳『内なる敵』(HAYAAWA POCKET MYSTERY BOOKS No.1345、1980年2月15日早川書房発行)を読む

 

宣伝文句は以下。

あの男にこれ以上追い回されたくないの――メラニーと名乗る女性は訴えた。偏執的な夫との生活に耐えかねて逃げだしたものの、夫は執拗に追ってくるというのだ。いまは夫の影に怯えながら、昔の恋人とともに息をひそめて暮らしているという。悲痛な訴えに心を動かされ、わたしは協力を約束した。が、やがて、彼女に殺人容疑がかかっていることが判明し……。知性派探偵サムスンの人情味溢れる活躍を描く人気シリーズ第三弾。

 

アルバート・サムスン:私立探偵。依頼人はウィレットスン。非力で拳銃を持たないが、見かけほど悪くない頭脳だけが武器。

マーチン・ウィレットスン(マーズ):骨董商ベネット・ウィルスン。アルバートへの依頼者。

メラニー・ベア(メルズ):マーチンの恋人。

エドモンド・キー:メラニーの夫。

アーティ・バーソロミュー:シカゴの私立探偵。キーが依頼人。

ロバート・ゴーガー:弁護士

ジャック:メラニーの友人

ジェフリー・ミラー:警部補。サムスンの友人。

 

骨董商ウィルソンが書いた芝居の脚本をシカゴのバーソロミューが返してくれない。“ガッン”と言って返すように交渉して欲しいとアルバート・サムスンは、もっとも不得意な依頼だが、依頼を受けた。タフをよそおってバーソロミューに当たったが、はるかにうわての大男で、失敗に終わり、脚本の話はでたらめだとわかる。彼は私立探偵で、依頼を受けて探しているメラニー・ベアという女性をウィルソンが知っているに違いないと語る。

アルバート・サムスンに語る依頼人などすべての人の話は信用できず、信用できるのは敵と思った私立探偵だけだと思ってしまう。

 

原題は ” The Enemies Within ”

マーズとメルズは明らかに罪の意識から、公共の敵という意識から、ぴったりとよりそって生きてきたのだ。そしていま、罪の源が消滅すると――彼らにとって、事態は変わらざるをえなかった。いまや敵は内部にあったのだ。(p267)

 

 

マイクル・Z・リューイン Michael Z. Lewin

1942年、 アメリカ・マサチューセッツ州スプリングフィールド生れ。5歳でインディアナポリスに移住。

ハーバード大学を卒業後、高校教師。

妻に薦められたチャンドラーの小説を読んで作家を志し、1971年渡英し、アルバート・サムスン主人公の『A型の女』でデビュー。

他に、アルバート・サムスン・シリーズの本書『内なる敵』、『沈黙のセールスマン』、リーロイ・パウダー警部補シリーズの『夜勤刑事』など。

 

島田三蔵

1938年~2007年。東京教育大学文学部卒。編集者を経て、英米文学翻訳家。

主な訳書に、ジェイムズ・リー『サバイバル・ゲーム』、B.M.ギル『十二人目の陪審員』

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

非力でカツカツの貧乏な、タフとは無縁な普通人の私立探偵は親しみやすく読みやすい。主人公の自虐的なジョークも面白く、楽しめる。

 

主人公の周辺の人間がすべて本当のことをなかなか言わないので、読者はやたら電話や訪問で情報を得ようとする主人公と一緒に右往左往する。

 

インディアナポリス周辺の街の雰囲気が、街の描写や人々の会話から立ち上がってくる。ちなみに、Indianapolis のアクセントは二番目の a にある。インディアポリス なのだ。私は一度行ったことがあるのだが、アクセントしか覚えてない。

 

しかし、メラニーの子供がどうなったのかという謎は、話を引っ張っていくほどの謎でもなく、迫力不足。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする