hiyamizu's blog

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有川浩『キャロリング』を読む

2015年02月12日 | 読書2

 

有川浩著『キャロリング』(2014年10月幻冬舎発行)を読んだ。

 

有川さんの作品は、温かくユーモラスなものが多いのだが、この本はハードボイルド風に始まった。

こちらを向いた銃口にはまるで現実感がなかった。・・・

それでも男の恫喝にハイ分かりましたと従いたくなかった。もしかすると自分は引っ込みがつかなくなって死ぬタイプかもしれない。

 

あらすじは以下だ。

子供服メーカー「エンジェル・メーカー」の営業の32歳の大和俊介は同僚のデザイナー折原柊子とは1年前に別れた。西山英代が亡夫に代わり経営して「エンジェル・メーカー」は12月25日で「クリスマス倒産」することとなった。

「エンジェル・メーカー」は学童保育も運営していて、ただ1人最後の日まで世話になる小6の田所航平は、別居している両親をなんとかもとに戻そうと考えている。航平は折原柊子と共に父親の祐二の勤める横浜の整骨院へ向かう。そこでは闇金が院長の坂本冬美を脅していた。

 

 

この作品は、演劇集団「キャラメルボックス」で舞台化する前提で作られ、座付き作家と原案段階から相談し、有川さんは役者全員と面談をしてキャラクターを作り上げていったという。なお、NHKプレミアムでテレビドラマ化もされている。

 

初出:「別冊文藝春秋」2012年9月号、11月号

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

心温まる面白い作品を期待したが、後半は誘拐事件中心の緊迫場面が続き、当てが外れた。犯人たちもドジで悪者になり切れないキャラクターで始まったのに、ぱったりと凶悪そのものに変わってしまう。それにも拘わらず、後半の誘拐事件の緊迫場面でも、乗り切れない私には、急に「なんちゃって!」と悪人が善人に替わるような気がして読み進んでしまった。

大和の生い立ちの秘密も、最近よくあるパターンで、さめて見てしまう。

 

 

ウィキペディアより

大和俊介:エンジェル・メーカーの営業。32歳。一年前に柊子と別れた。両親とは疎遠。

折原柊子:エンジェル・メーカーのデザイナー。32歳。子供好き。

田所航平:学童保育で預けられている小学6年生。両親別居で、母親の圭子の元に居る。何とかして両親を仲直りさせようとする。

西山英代:亡き夫を引き継ぎ、エンジェル・メーカーを経営。経営不振からいさぎよく倒産を決意。50代後半。大和の母親の友人で、大和とは物心付く前からの知人。大和の事を自分の子供の様に思っている。商工ローンに手を出すぐらいならばと、会エンジェル・メーカー社を畳む事を決意した。

朝倉恵那: 33歳。エンジェル・メーカー社員。優秀で美人だが空気が読めず、新顔なのに、態度がデカい。

佐々木勉:39歳。エンジェル・メーカーの古株のデザイナー。ヒラヒラの服を作るのが好きな肥満体。

田所圭子:航平の母親。キャリアウーマン。年明けから、ハワイに栄転する事が決まっている。

田所祐二:航平の父親。圭子と別居し、会社を辞め、浮気相手と別れ、「坂本整骨院」で見習い。頼りない。

坂本冬美:「坂本整骨院」の院長。先代である祖父の借金の取立てにあっている。

大嶽正寛:坂本整骨院に通う老人。冬美に思い入れが強い。

赤木守:闇金「赤木ファイナンス」社長。30歳過ぎ。落ちこぼれの糸山・石田・レイを引き取る。

レイ:赤木ファイナンスの事務員。元ホステス。

糸山光太:赤木ファイナンスの取立て屋。鋭利なデザインフレームの眼鏡をかけている。

石田猛:赤木ファイナンスの取立て屋。四角い顔。

 

有川浩(ありかわ・ひろ)の略歴と既読本リスト

 

 

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