hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

三浦しをん「まほろ駅前番外地」を読む

2010年09月23日 | 読書2

大げさに騒いだのに、たいしたことありませんでした。筋膜が炎症しコブができる結節性筋膜炎という珍しいが、腫瘍ではないものでした。抜糸は25日で、翌日サンフランシスコへ発ち、1日には帰国という日程ですが、問題ないでしょう。



三浦しをん著「まほろ駅前番外地」2009年10月、文藝春秋発行、を読んだ。

宣伝文句はこうだ。

多田・行天コンビが主人公の人気シリーズ『まほろ駅前多田便利軒』のパート2は“番外地”と銘打って、多田・行天の物語3篇に加え、本篇の脇役が主人公となる短篇4篇を収録。若き地元ヤクザ星良一、生意気小学生の田村由良のほか、意外な人物もフィーチャーされます。・・・



直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』の続編で、我が子を失い、夫婦の絆を失った多田と、少年時代に謎の闇を抱える行天(ぎょうてん)は、便利屋稼業でさまざまなへんてこりんな依頼をなんとかこなすうちに、自分たちの厳しい過去が顔を出す。


Walkerplusのエンタメに本書に関する三浦さんへのインタビュー記事が載っている。

「作品の舞台となる“まほろ市”とは、実は作者が暮らす町田市がモデル。」とは愛読者の常識だが、三浦さんはこう語る。

「前作を書き終えた時、多田はそれなりに幸せそうだけど、行天はどうなっちゃうの、ということが我ながら気になったんですね。それで、これまで続編というものを書いたことはなかったけど、連載を再開しました。・・・シリーズとしてはさら
に、行天の抱える問題が解決するまで続けたいですね」。


(是非お願いしたい)

「多田と行天には、年齢的に無限の希望も可能性もないし、家族という安定した居場所もない。つまりそれは私自身なんです。むしろ、多田に嫉妬することすらありますね。いいな、1回は結婚したんだから、みたいな(笑)。でも“まほろ”では、そういう状態からの幸福の再生というものを描いていきたいです」。



歳を経た岡夫人は夫婦について思う。

男女や夫婦や家族といった言葉を超えて、ただなんとなく、大事だと感じる気持ち。とても低温だがしぶとく持続する、静かな祈りにも似た境地。
諦めと惰性と使命感とほんの少しのあたたかさ。・・・


(一度も結婚したことない(失礼)三浦さんにどうして長年連れ添った夫婦のことがわかるのだろう)

初出:別冊文藝春秋274~280号



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)

多田と行天もそうだが、出てくる人物のキャラが立っていて面白い。昔は原節子ばりだと主張する曾根田のばあちゃんの昔話、バスの間引き運転の証拠探しを依頼する頑固な岡老人、強面のヤクザなのに20歳という星、多田が惚れてしまった外食チェーン女社長など多士多彩な人々が加わり、面白くないわけがない。前作なしでも楽しめるが、前作を読んでいれば、おなじみの仲間たちに新メンバーが加わり、さらにバラエティを増して、苦笑とぬくもりが織り込まれた話に引き込まれていく。

前作同様、行天の変わり者ぶりと、人のよい多田の持て余しぶりが面白いが、傍若無人で醒めた彼が、突然キレて暴れるシーンがあり、秘めた過去を推測し、このままでいて欲しいのだが、なんとかもう少し、ちょっとだけはまともになって欲しくもなった。

三浦しをんの略歴と既読本リスト







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