hiyamizu's blog

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スティーグ・ラーソン『ミレニアム 1 上下』を読む

2012年12月07日 | 読書2

著者:スティーグ・ラーソン、訳者:ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利 『ミレニアム 1 ドラゴン・タトゥーの女 上下 』ハヤカワ・ミステリー文庫HM381-1、-2、2011年9月早川書房発行、を読んだ。

好きな作家の本だけ読んでいるとどんどん範囲が狭くなってしまう。常に手を広げるようにしていて、従来あまり読まないミステリーも少しずつ読もうと思っている。
「最近のミステリーの本場はスウェーデンで、なかでもミレニアムは最高だ」という評を読んで飛びついたのがこの本だ。
「ドラゴン・タトゥーの女」「火と戯れる女」「眠れる女と狂卓の騎士」の三部作で全世界で6千万部の大ベストセラー。

ジャーナリストであったラーソンがパートナーの女性エヴァ・ガブリエルソンと執筆した処女小説で、彼は出版前に亡くなった。



実業家・ヴェンネルストレムの不正を報道した、雑誌『ミレニアム』の発行責任者のミカエル・ブルムクヴィスト。だが、名誉毀損の有罪判決を下され、一旦『ミレニアム』から離れることを決める。それでもミカエルは、ヴェンネルストレムの違法行為を確信していた。

時を同じくして、大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが、弁護士フルーデを通じて、ミカエルの身元調査を依頼していた。調査を担当したのは、背中にドラゴンのタトゥーを入れた、少年と見紛うような小柄な女性、リスベット・サランデル。

リスベットの調査から、ミカエルを信用に足る人物だと判断したヘンリックは、ミカエルにある仕事を依頼する。それは、36年前に一族が住む島から忽然と姿を消した少女ハリエット・ヴァンゲルの失踪事件の調査だった。ヘンリックは36年経った今も尚この事件に頭を悩まされ続け、一族の誰かがハリエットを殺したのだと信じきっていた。法外な報酬と、事件の謎を解決すれば、ヴェンネルストレムを破滅させることもできる証拠を与えるという条件から、ミカエルは、この如何にも難解そうな依頼を引き受ける。


訳者あとがきより
著者は、第三部を書き上げ、第四部の執筆を開始したところで、第一部の発売を待つことなく心筋梗塞で死去した。パソコンには第四部の原稿が200頁ほど残っていたという。

初出:原著は2005年発行、日本では2008年12月に単行本として刊行された。



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

第一部は、文庫本上下で850頁と大作。しかし、誠実なジャーナリストと、大実業家や、狂信的、個性的な金持ち一族の人々とのせめぎあいに引きこまれ、一気に読んだ。

何と言っても魅力的なのがドラゴン・タトゥーの女リスベット・サランデルだ。
髪は極端に短く、鼻と眉にピアスをつけ、拒食症かとおもうほどにやせた青白い肌で身長150cmほどの娘。首、二の腕、足首のまわりにタツゥー、さらに肩甲骨に大きなドラゴンのタツゥーを入れている。生い立ちのためだろうか、権威をまったく信用しない。一瞬見ただけで複雑な文、画像、仕組みを理解し覚えてしまい、優れたハッカーで、調査能力は天才的だ。

もちろん、欠点もある。謎自体は結局それほどのものでもない。名前がわかりにくい。上下巻で50名ほどの人が登場する。そして、その名前がミカエル・ブルムクヴィストやハンス=エリック・ヴェンネルストレムなどというのだから苦労する。

コメント
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