hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

宮部みゆき『おそろし』を読む

2010年12月09日 | 読書2

宮部みゆき著『おそろし 三島屋変調百物語事始』2010年6月新人物往来社発行、を読んだ。

裏表紙にはこうある。

ある事件を境に心を閉ざしてしまった17歳のおちかは、江戸の神田三島町で袋物を商う叔父夫婦のもとに預けられる。裏庭の片隅にひっそりと曼珠沙華のひと群れが咲く秋のある日、叔父・伊兵衛は、おちかに来客の対応をまかせて出かけてしまう。 来客の相手をすることになったおちかは、曼珠沙華の花を怖れる客の話に次第に引き込まれていく。そして、伊兵衛の計らいで次々に訪れる人々のふしぎ話は、おちかの心を溶かし、やがて彼女をめぐって起こった事件も明らかに......。



他人に心を閉ざしたおちかは、訪ねてくる人たちから「変わり百物語」を聞くうちに心を少しずつ、溶かし始めていく、という連作長編時代小説のシリーズ第一弾。
この作品は2008年7月角川書店から四六判ハードカバーで刊行された。シリーズ第二弾は、読売新聞に連載され、中央公論新社から「あんじゅう 三島屋変調百物語 事続」として単行本化されている。

第一話「曼珠沙華」
訪ねてきた藤吉は、曼珠沙華(まんじゅしゃげ=ヒガンバナ)を見て気を失いそうになる。腕の良いいなせな職人だった長兄のことを語り始める。ただ、彼の兄はかっとなると、抑えがきかなくなるたちだった。曼珠沙華の間から見えるのは誰の顔か?

第二話「凶宅」
美しい謎の女、おたかは、子供の頃に住んだ家について語る。年に一度倉をあけて着物などを虫干しするという屋敷に1年間住んだら100両くれるといわれ、家族全員で移り住んだ。

第三話「邪恋」
主人公のおちかは、女中頭のおしまに、実家にいたときに起こったことを語る。それは、自分の許嫁と幼いころ父に助けられ、育てられた男をめぐる悲劇だった。

第四話「魔鏡」
お福には、姉と兄がいた。咳のため幼い頃から他家に預けてあった姉が17歳になり絶世の美女となって帰ってきた。美男子の兄は? 魔鏡にとらわれた女性は?

第五話「家鳴り」
おちかを兄が訪ねてきて、変なこと起きているので、おちかは大丈夫かと心配する。謎の屋敷に乗り込むと、そこには・・・。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)

これらの話では、人を愛する気持ちがいつの間にか、ねじれ、行き違い、あるいはひたむき過ぎて心の暗闇を作り出す。そして、この心の暗闇が怨霊というものを作り出す。

哀しみを抱える人たちが、罪の意識に悩むおちかに物語ることによって、幾分か気持ちが楽になっていく。そして、いつのまにかおちか自身も救われていく。

単純な理工系の私は、怨霊に違和感があり(なじんでいる人もいないだろうが)、拒否反応が強く、十分に楽しめなかった。


宮部みゆき 概歴と既読本リスト



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