hiyamizu's blog

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松永和紀「メディア・バイアス」を読む

2008年12月25日 | 読書2

松永和紀著「メディア・バイアス-あやしい健康情報とニセ科学」2007年4月、光文社発行、光文社新書298を読んだ。

表紙裏にはこうある。
―――
世間に氾濫するトンデモ科学報道。・・・テレビを批判する新聞や週刊誌にも、あやしい健康情報が山ほどある、そこには、センセーショナルな情報に引っ張られるメディアの構造、記者・取材者の不勉強や勘違い、思い込み、そして、それを利用する企業や市民団体…。本書では、さまざまな具体例をもとにメディア・バイアスの構造を解き明かし、科学情報の真贋の見極め方、リスク評価の視点を解説する。
―――



第1章 健康情報番組のウソ
第2章 黒か白かは単純すぎる
第3章 フードファディズムの世界へようこそ
第4章 警鐘報道をしたがる人びと
第5章 添加物バッシングの罪
第6章 自然志向の罠
第7章 「昔はよかった」の過ち
第8章 ニセ科学に騙されるな
第9章 ウソつき科学者を見破れ
第10章 政治経済に翻弄される科学
第11章 科学報道を見破る十カ条



著者は、1963年長崎市生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。毎日新聞社の記者として10年勤めた後に退職し、フリーの科学ライターとして活動を開始。得意分野は農業、食品、環境など。
女性。



私はこの本の内容には全面的に賛成だ。いくつか抜き出す。

「多様な食物を過不足なく食べることの重要性を無視する食の情報には虚偽や誇張、フードファディズムが紛れ込む」

「『危険ですよ』『要注意ですよ』と警鐘を打ち鳴らす。これが、マスメディアの直腸です。『○○には気を配らなくていいですよ』では、読者は興味を持ってくれません。だから・・・センセーショナルな話を前面に出すのでしょう」

「(食品添加物の)代替物の効果は、ソルビン酸(食品添加物)には太刀打ちできませんので、保存期間が短くなり、食中毒を避けるために食品の廃棄率が高まります。・・・どちらが本当に消費者のためになるのか、ここでは科学的思考が欠落しています」

「無添加の方が健康にいいという誤解を与えて売っている。・・これは詐欺商法に近い」

「自然はイメージがとてもいいですが、現実にはかなり怖いのです」



おおよその著者の主張はわかってもらえるだろうが、こう断片だけ取り出すと、まるでマスメディアのようになってしまうので、このくらいにする。



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)
みのもんたファンの人、健康フェチで健康のためなら死んでもよいとおもっている人には是非読んでもらいたい。


都合のよい部分だけ取り出して決め付ける話には注意が必要だ。要するに、週刊誌はもとより、TV、新聞の言うことは、まず疑ってかかった方がよいということだ。
それにしても、○○ダイエットなどが一気に流行り、エセ科学やスピリチュアルが公共の電波で流されるとは!学校教育で、科学的考え方や、マスコミ情報の受取り方を教育してもらいたい。真面目な話と、血液型占いなど半分冗談やお楽しみとが区別できなくなっているのでは。



コメント
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