hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

「東京のどこに住むのが幸せか」を読む

2008年12月06日 | 世の動向
山崎隆著「東京のどこに住むのが幸せか」講談社セオリーブックス、2007年11月発行を読んだ。

表紙の裏には、
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資産価値あるマンションや一戸建ての定義を、勘違いしている人が多い。どんなに耐震性能が高くても、どのなに眺望がよくても、どんなにリビングが広くても、衰退することが運命づけられた街の住宅を買ってしまったら、すべては水の泡である。
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以下、主張のいくつかをご紹介。(  )は私のコメント



衰退する街と繁栄する街の分岐点

都心にあるだけでは土地の価値は決まらない
渋谷区広尾を超高級マンション「広尾ガーデンヒルズ」は築20年以上だが、売買取引価格は下がらないどころか、上昇基調にある。一方、上野駅周辺の住宅地は新築マンションの価格は安いし、中古の値下がり率も大きい。
千代田区、港区は昔の武家屋敷で、高級住宅地だ。町人が住んでいた浅草、上野など下町エリアは人気がない。
(東京に長く住んでいると、なんとなく地域ブランド価値は分かってくる。しかし、ブランド価値がなんににより高まるのかは、この本からもはっきり読み取れなかった。江戸時代にさかのぼるほど地域のブランドを高めるのには長年かかるのだろうか?
もちろん、このブランド価値は、個人的なじみ、親しみに基づく価値とは別物で、他人に売るときの金銭的価値だ。ちなみに、この本のタイトルにある「幸せか」は適切ではない。本の内容は「儲かるか」に限られている)


短期間で大規模開発されたニュータウンほど、街の衰退が著しい
子育てを控えた地方出身のサラリーマンが大挙して入居する。しかし、20年も経つと、子供は出て行き、商業施設も撤退が始まり、街は衰退していく。
(私が住んでいた団地でも、15年経つと、子供の声が聞こえなくなり、散歩する老人はゆっくり歩き、連れられた犬もよたよた歩くようになる)



不動産価格算定法

不動産を買う前に立地を買い、立地を買う前に街を買え。急成長している街を選ぶと、自動的に衰退する街を選ぶことになる

世田谷区、杉並区、目黒区など人気エリアは築30年のマンション価格は約30 % 減価する。一方、隅田川や荒川流域周辺の築30年のマンションは60 % 減価する。


不動産の価値は貸したらいくら儲かるかで決まる。この収益還元法での不動産の資産価値計算式は以下だ。

不動産の資産価値=月額賃料(純収益)*12ヶ月/期待収益率(期待利回り)

月額賃料の純収益は税、修理費などを差し引いて計算するが、おおざっぱには賃料の80%とすることでよい。期待利回りは、品質良好なら6 % から8 % だ。ただし、金利が低く東京なら5 % が妥当とされる。



都内55エリアのデータ
後半に、都内55エリアの特徴とファミリータイプ中古マンションの標準価格と賃料が書かれている。著者によれば、価格と賃料について、約2万件のマンションの成約事例をベースに「重回帰分析」という統計的手法で将来傾向を分析したものという。



私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)

街の衰退する様子が書かれてある部分は面白く読んだ。不動産の資産価値計算法も、みじかな例で計算してみて、ほぼ納得いくものだった。
しかし、一般的な不動産の評価方法の話題として読むのは良いが、具体的に不動産を探したり、借りたり、売ったりするための情報としては偏りがある。なにしろ、記述地域が我々には縁のない都心の一等地が中心だ。


コメント
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