ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~光秀、最愛の妻~

2013-06-20 | 散華の如く~天下出世の蝶~
帰蝶「犬やサルの類ではあるまいし、手懐けたなど…」
方丈「いえいえ暴れ馬を、よう乗りこなしておられる」
帰蝶「その御馬様に、報告は…?」
方丈「すでに、宗恩が」
帰蝶「無駄足だったか」
方丈「いえいえ姫に来て頂いた理由は、他に…」
帰蝶「他?」
方丈「はい、天台密教に、触れて頂こうか、と」
寝仏の足元の、畳まれた袈裟と紫頭巾。
ちょこんと、私の頭に尼頭巾を乗せて、
「おぉ、どこか立派な三蔵法師…」
帰蝶「…尼に、扮せよと?」キッと睨んだら、
方丈「おぉ、どこか美しいクリスティン(キリシタン)」
言い直しおった。
つまり、
帰蝶「これで、熙子(ひろこ)様に謁見しろと?」
方丈「おぉ、流石はうつけの姫様。察しが良い」
襤褸で身分隠し、城を出て、
今度は尼に扮して、山越え。
このナリで天台宗に行けと、
しかし、
帰蝶「ご懐妊中、迷惑であろう…」
ずる…、頭巾が滑り、
ぱさ…、床に落ちた。
「気が進まぬ」
それに、熙子様について、何も知らない。先妻様は…?
どういった経緯で、継妻に納まったか、何も知らない。
方丈「これを、届けて頂けませんか?」
帰蝶「これ…火傷?何か、お怪我なさっておられるのか?」
手渡されたのは、軟膏であった。


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