ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

捨てたゴミ

2011-10-03 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
彼を追って、料亭の裏を抜けて街に出た。
人ゴミを縫って追い掛け、
「待ちなさいよッ」呼び止めて、
兼雅「お前も…」ゆっくり「一味か?」振り返った。
冷泉院「よくも、能子を泣かしてくれたわね」
兼雅「泣くのは勝手だ」
冷泉院「変わったわ」
兼雅「…で、何だ?」
冷泉院「能子を、自由にしなさいッ」
兼雅「これは、上からの命だ」
冷泉院「命令、命令って、そんなに命令が大事?」
兼雅「知っているはず。命に背けば、総潰し」
冷泉院「だからッ…私とは、別れた」キュッと口を結んで、睨んだ。
兼雅「ふん…」鼻息を捨てるように、吐いて、
冷泉院「ふぅ」と息を出し「あっさ~り、捨ててくれちゃって」
兼雅「…さっき、」頬を往復ビンタする真似して「お前に似た女(こ)がいたな」
冷泉院「…」
兼雅「あの時の方が、」頬をさすって…「痛かったけどな」
冷泉院「そっちは遊びのつもりでも、私は、本気だった」
兼雅「このご時勢、愛が結ばれる可能性は低く、また、愛が壊れる可能性は極めて高い」
冷泉院「ふぅん…で、ポイっ」ゴミを捨てる真似をした。
兼雅「そうだ」
冷泉院「違うでしょッ、私が…ッ」
兼雅「人は替われるが、出生は変えられない」
冷泉院「この屁理屈男ッ。能子は渡さない。彼女には、幸せになってもらうんだからッ」
兼雅「その幸せを…身分、地位、名誉と出生を保護してやって、それ以上に何を望む?」
冷泉院「あなたは、それで、心満たされる?」
兼雅「ふ…」と薄く笑って「そんなもの遥か昔に捨てた。お前と一緒に、な」背を向けて、
捨て去った…昔の彼を目で追って、冷泉院「何やってんだろ、私…」空しくなった。
(それをこっそり見ていた、基治さん「わしのせい!?」と、顔を青くしていた)


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