ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

男の口約束

2010-07-31 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
弁慶「讃岐って…」
佐伯「ほれ、お前の彼女、讃岐出身で一緒に行くんだろ?ついでじゃねぇか、なぁ?」
これで決まった決まったと一人で勝手に喜ぶ佐伯氏。さらに弁慶の意向を完全無視、口を挟ませず、一人で話を進めた。
佐伯「後から八十八の霊験所、教えるから山門(さんもん・お寺の正面門)作れ。いいなっ!」と命令した挙句「新婚旅行を兼ねた巡礼旅じゃねぇーか、えぇ?なんだその目は不満か?大丈夫だ!泊まりの宿なら気兼ねすんな。宿場のもんに気を使う?ように言っておくから、思う存分やれ!」
弁慶「…(誰がそんな心配したよ…)」と、しかめっ面したら鏡越しにその弁慶の面を見た
佐伯「んだぁ、その目は!?もしかしてイヤらしい事…考えておるなっ。いいのうぉ、若いのうぉ。このぉ幸せ者ぉっ!」と勘違いしていた。さらに暴走と妄想が止まらない、
佐伯「もっぱら評判の嫁じゃねぇか。大切にしろよ。わしがもう少し若ければ嫁に貰うがな。まぁ、磯乃さんとチィー(茶)で我慢するかぁ。あっはっはっはっ」と豪快に笑っていたが、磯乃さんが気を悪くする…、
弁慶「…(辛かったろうな、せっかく出産の手伝いで鎌倉まで来たのに…)」と、お義母さんの磯乃さんの心中察して目を伏せた。ら!?
佐伯「なんだ、その目は不安か?お前なら大丈夫だ!そのための弁慶の七つの大工道具じゃねぇか。宝の持ち腐れになっぞ。それに、その腕を買って八十八の山門作りを頼んでんだ!」と、あまり人に物を頼む態度じゃないと思ったが、弁慶は黙々と佐伯氏の背中を流していた。
弁慶「…(どっから彼女らの話を聞きつけた?)」と考えて、ハッとした。
磯乃さんは磯禅師という名で通っている有名な白拍子の先生で”佐伯氏と同じ讃岐出身”だ。しかし、鎌倉にいるはず…と思い、
弁慶「お義母さんとどこで…?」
佐伯「おぉ♪もう、お・か・あ・さんって呼んでるのかぁ!そっか、仲良くやれ」
弁慶「だから、どこで?」
佐伯氏「あん?御髪おろす「剃髪の儀」を鎌倉でやった。そん時なっちっと話した」
弁慶「剃髪の儀、佐伯さんがしたん?」と訊ねたが、
佐伯「さ、これで俺は上がる!裸で交わした男と男の約束で二言はないっ!いいなっ」と念を押し、きれいに洗い流された背中と口約束成立に大満足して風呂場から立ち去った。
全く強制的一方的としか言いようがない口約束であるが、逆らうと面倒だから従う事にした。


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