ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~母の面影~

2013-11-06 | 散華の如く~天下出世の蝶~
茶筅丸「ん…ん、」
私をまんまに誘っているようだが、
帰蝶「私、ここから出られぬから」
茶筅丸「ん…」
そろそろ五歳…顔立ちが整って、
男(おのこ)にしては綺麗過ぎる。
母生駒の生き写しのようで、
生駒が私を見ているようで、
筅丸を見ているのが、辛い。
帰蝶「先に休む、な」
コロン、御本尊と、
筅丸に背を向けた。
筅丸に対して、
以前、殿から、
“筅丸の母にもなってやれ”と、言われたが、
乳母ならいくらでもおりましょう?と断った。
殿も珍しく、この件からすんなり手を引いた。
殿の御気持ちも、十分承知。
この子の気持ちも、分かる。
父と子の気持ちを思い量れるからといって、
己の本心、感情を押し殺し、母に成れるか?
私は当主の妻で、嫡男の母で、
その前に、ひとりの女である。
丸は、私が本当の母ではないことを知っている。
筅丸は、本当の母が今どこにいるのか知らない。
そろそろ五歳…大人の秘密を理解する年である。
丸には、養母の私が居て、
自分には、母がいない事、
そろそろ、分かるだろう。
「筅丸、母が恋しいか?」


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