ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

女心と妻の髪

2011-12-16 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
能子「ん…」御方様の長い黒髪が、さら…と俺の腕に垂れて、
池田「女たちは、この黒髪を大切にしている、そうですよね?」眠る彼女に聞いた。
なのに…、売った?
借りている部屋に彼女を寝かせ、彼女の大切にしている髪…垂れる前髪をスッと横に分けた。
御方様の白いお顔に、ほんのりと紅い頬が覗いた。居た堪れなくなって、
「しばし、酔いから醒めないで下さい」と、彼女を一人部屋に残し、遊郭に走った。
髪を売り買いするのは、髪結い処。売られた髪は椿油で艶を戻し、形整え、付け髪(カツラ)にする。美しい女の黒髪は死人のそれであっても高値が付き、貴族階級、遊女らに売られる。
壇ノ浦でも、そうだった。熊出で鷲摑みされた髪は、心と共に女たちから切り裂かれた。
どんなに辛かったか…。そして、御方様の黒髪を見て、どんなに安堵したか…。
遊郭で瑠璃姫と、松殿の張り込みをしていた時、確か、こっちに…「あった」
一方、祝言後の酒宴では、野郎どもが祝い酒を浴びるように飲んで、
斯波「おい、土岐ッ」に酒を注いで「これ、お前ン所からだってな」
酒田銘酒『三十六人衆』…これは奥州 藤原秀衡様の妹君が三十六騎の従臣従え、この山形 酒田を船出の町『東の堺、西の酒田』と盛り立てた事にあやかり作られた清酒で、
土岐「え…」こんな高価な酒を「照が?」訝しく思い、その姿を捜した。
妻は、頭巾を目深に被り、”黒髪のマリア”と称される、その髪を隠していた。
斯波「これ、」与一に作らせたかんざしを出して「かみさんに、やってくれ」
土岐「見事な…かんざしです」土岐代々の家紋、水桔梗が彩られ、
斯波「俺が作ったんじゃねぇぞ」土岐には、いつも面倒掛けてる。だから、礼のつもりだった。ただ、照れくさくて「与一が作ったんだ」フンッと不器用に渡した。
土岐「あ、ありがとうございます、喜びます」つい、嬉しくなって「照っ!」を呼び寄せた。「斯波さんからだ、付けてお見せしろ」強引に妻の頭巾を剥いだら「か、髪が…」
照「あ…」パラッと、短くなった髪が垂れた。
斯波「マ…」マリアの黒髪が…、
土岐「こ、れ…は…?」
照「その…出産を控えているので、邪魔になり…、」
土岐「何を言っているんだ?」あれほど大切にしていた黒髪…椿油を差し、かんざしを挿して艶やかに美しく保っていた。心優しく、美しい黒髪だと、東洋聖母マリアの黒髪と称された妻の髪を「まさか…売った?」と、酒田銘酒『三十六人衆』を見た。


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