ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~忍びと影と、人情と~

2014-01-11 | 散華の如く~天下出世の蝶~
帰蝶「忍び忍ばせ、こそこそ策を練る殿の御口から然様な事…」
信長「忍びも城を持つ時代である」
帰蝶「五兵衛殿の事にございますか?」
信長「あぁ。あやつを前田に任せ、一国を与えようと思うてな」
帰蝶「前田…利春様に?」
信長「いずれは越中守、外交に尽力しようが」
帰蝶「賊を、公認しようと、仰るのですか?」
信長「賊を賊とするから、姑息となる」
帰蝶「賊を改宗させ、袖の下に使おうと?」
信長「まぁ、そう言うな」
帰蝶「しかし私も五兵衛殿に恩がございます。その…伴侶を持たせたいと思うておりまする」
信長「それは名案である」
五兵衛は、名を前田五郎兵衛安勝と改め、
いずれ、能登国の八尾城代の大名になる。
帰蝶「賊といえども、人にございます」
信長「妻有り、子有り、帰る場を持つ…か」
帰蝶「はい、人の結びは家。臣の結びは恩に始まり義に尽くす…と、」
信長「義父上か?」
帰蝶「ただの…、持論にございます」
信長「縁談か…、誰が良い?」
帰蝶「賊か、忍びが良いと存じます」
信長「相分かった」
殿は、忍びを多く使っていた。故に、
その恐ろしさを十二分に知っていた。
忍びの心を掴み、上手く使う事、
忍びの統率力を味方に付ける事、
忍びを統治する事を急務とした。
帰蝶「殿、そろそろ影を…」
信長「あれは好かん」
ただ、影武者を立てる事は、嫌った…。