翁長・安倍会談 辺野古断念こそ解決策(2015年8月8日中日新聞)

2015-08-08 08:49:48 | 桜ヶ丘9条の会
翁長・安倍会談 辺野古断念こそ解決策 

2015/8/8 中日新聞
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)は返還による危険性除去が急務だが、政府が名護市辺野古への県内移設を「唯一の解決策」とする限り、進展は望めない。辺野古移設断念こそ唯一の解決策だ。

 沖縄県の翁長雄志知事と安倍晋三首相がきのう会談した。昨年十二月の翁長氏の知事就任後、今年四月十七日に次いで二度目の会談だ。最大の懸案は普天間飛行場の辺野古への県内移設問題である。

 政府は、辺野古移設の本体工事に向けて行っている海底掘削調査を、十日から一カ月間、中断することを決めた。

 この間、政府と沖縄県は五回程度、辺野古移設をめぐり集中的に協議する。十一日に予定する初会合に出席するため、菅義偉官房長官が沖縄県を訪れる、という。

 仲井真弘多前知事による辺野古沿岸部の埋め立て承認に「法律的な瑕疵(かし)があった」とする第三者委員会の報告を受けて、翁長氏は近く承認を取り消す方針を示唆していた。政府の作業中断には、県側との決定的な対立を当面、避ける狙いがあるのだろう。

 この一カ月間は、国民の反発が強まっている安全保障法制関連法案の参院審議や、賛否が割れる鹿児島県・川内原発の再稼働とも時期が重なる。政府が沖縄の米軍基地問題でも強硬姿勢を続ければ、内閣支持率のさらなる低下を招くとの危惧もあったに違いない。

 ただ、これは一時的な「政治休戦」にすぎない。翁長氏が拒否する辺野古移設を、政府が推進する対立構図に変わりはないからだ。

 辺野古容認に転じた仲井真氏に「ノー」を突き付け、翁長氏を県知事に当選させた辺野古移設を拒む民意は、昨年の名護市長選、県知事選、衆院選で繰り返し示されている。

 政府がこうした民意に反して、沖縄県民の抜本的な基地負担軽減につながらない、米軍基地の県内「たらい回し」を強行するのは、民主主義に反する。

 政府がかたくなな態度を改め、辺野古移設計画を断念しなければ、県側との接点は見えてこまい。沖縄振興予算の確保で県側に翻意を促すような手法も、もはや通用しないだろう。

 政府は県との集中協議を、政府の取り組みを説明し、辺野古移設への県側の理解を得る場と考えているようだ。安保法案を成立させた後、辺野古移設を強行するつもりなのだろうか。県側との協議がそのための時間稼ぎだとしたら、あまりにも不誠実である。

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