JR東海が、9月18日にリニア中央新幹線の具体的ルートなどを、発表したら、日本全国で、マスコミの翼賛記事やニュースで溢れた。
これらの記事やニュースの特徴は、リニアにまつわる多くの問題点を隠したJR東海の詐欺的広報をそのまま調べもせずに無批判に報道を垂れながしている。これだけの宣伝力を、福島の復興ニュースになぜ注げないのか不思議である。
今日は、あまり知られていない「地上区分権」についての解説が、「民法ワンポイントノート」というブログに載っていたので、転載する。
民法上の地上権の意義から、問題とすべき「区分地上権」について、分かりやすく解説してあるので、リニア問題に疑問を持つ人たちは、必見である。
少々長いが、我慢して読んでほしい。
(2、「地上権とよく似ている「土地の賃借権」部分も重要ですが、ここでは、「区分地上権」部分だけ掲載しますが、ヤフウーで(「ワンポイントノート 制限物権その5 「地上権」)で検索するとその部分が見られます。
1:「地上権」とはなんぞや?
地上権とは、『他人の土地において、工作物又は竹木を所有するためにその土地を使用する権利』のことを言います。「地上権」という名前ですが「上空」に設定することもできますし、「地下」に設定することも可能です。
地上権が設定されるのはその性格上不動産だけですが、不動産の中でも土地だけが対象になります。まさか建物の屋根の上とか庭先・玄関先にこんなものを設定することはできませんしね。
地上権が設定されると、その土地を「使用収益」することができるのは「地上権者」ということになります。土地の所有者はその土地を「使用収益」することは出来なくなります。ちなみに、地上権や土地の賃借権等が設定されている状態の、所有者が使用出来ない土地のことを「底地(そこち)」と言います。底地の売買はだいたい通常の土地の売買価格の2~3割程度しかないと言われます。「買っても自分では使用出来ない土地」にはたいした価値が見いだせないということになるのでしょうね。
でも、地上権によって土地が自由に使えるとはいっても、所有権とは別の時限の話です。あくまでも「他人の土地」を使えるというだけの権利です。
3:地上じゃない地上権
ところで、地上権は地上…というか地表に設定するものが最もメジャーです。しかし地上権は上空の地上権とか、地下の地上権とかいうものも設定が出来るのです。「地下の地上権」とか、自己矛盾も甚だしいですよね^^;
上空に設定する地上権として判りやすいのは、「高圧送電線」のための地上権でしょう。他にも高速道路や鉄道の高架を敷設するためにも設定されることがあるようです。送電線や高架施設の場合、他人の土地の上を横切りたいだけなので、送電線や高架を支障しなければ土地の表面は他の用途で使われていても一向に構わないのです。例えば畑の上空を送電線が横切る場合などは、別に土地の表面に大根が植えてあろうが、ほうれん草が育っていようが全く気にしません。まあ、送電線にひっかかるような大根が育つようなことがあったら困りますが。
地下の地上権も、可能です。地上じゃないけど権利の名前が「地上権」なので、「地下の地上権」です。(笑)
判りやすい実例としては、地下鉄の敷設、地下道や地下街の建設等が挙げられます。こちらも、地下鉄を通すことが出来るなら、地表がどのように使われていようとも全く意に介しません。地下鉄の上にニンジンが植えられていようとも、白菜が育っていようとも、全く問題有りません。まあ、地下鉄の運行に支障が出るようなニンジンだと困るでしょうけども。
こうした地上権を「区分地上権」といいます。なお、特に「上空」とか「地下」とかを指定せずに地上権を設定した場合は、上空も地表も地下も全部地上権者が使用収益できる範囲となります。
区分地上権は、お互いに支障しない限り、複数の設定が可能です。例えば、送電線を通すための「上空の地上権」と、地下鉄を通すための「地下の地上権」はお互いに矛盾しません。また、地表に家が建っていても、送電線を通すのに問題が無いなら家を所有するための地上権も成立し得ます。地表が駐車場で、その上に鉄道の高架があり、さらにその上に高圧送電線が横切るような場所でも問題ありません。この場合は上空の地上権が2つになりますがこのような設定も可能です。
ただし、区分所有権を設定する場合は、すでにその土地に設定されている地上権や賃貸借権、永小作権等の権利者、あるいは抵当権者等の全員が同意しなければなりません。
(地下又は空間を目的とする地上権)
第二百六十九条の二 地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
2 前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。
第2項にある、「その土地の使用又は収益をする権利を有する場合」と、「これを目的とする権利を有する」とがポイントです。
「その土地を使用又は収益をする権利」とは、まさに地上権や永小作権、土地の賃貸借権のことです。例えば、上空に送電線を通すために上空の地上権を設定するとしたら、先に地上権などを持っている人は本来なら上空も全部自分で使用出来るはずのところ、その権利を他人に奪われてしまうわけですから、すでにいる権利者の同意が必要なことは言うまでもありません。
「これを目的とする権利」とは、「地上権を目的としている抵当権」とか、「地上権を借りている人」とかが該当します。地上権を抵当権の目的物にすることが出来ますが、この地上権も、「上から下まで全部利用できる権利」として抵当権を設定したであろう場合と、「上空に送電線が通っている地上権」とでは、もしかすると価値が違ってしまうかもしれません。(そして送電線が通れば価値が下がってしまうかも知れない!?)とすると、抵当権者の利益を害する結果にもなりかねないため、こうした人たちの承諾も必要だと民法は言っています。
そして、一旦承諾をしたなら、先に地上権の設定を受けた人であっても、後から設定された区分地上権を妨害するような事は出来ません。
例えば、地表から30メートル以上の空間に送電線を通すための地上権を設定するとして、地表に住宅を所有する別の地上権者は、その土地上に高さ30メートルを超える柱とか立てたりしてはいけません。ビルの建設とかも30メートルを超えてはいけないことになります。
4:共有地と地上権
地上権にはそれほど難しい論点は存在しませんが、先に挙げた「区分地上権」と、これから説明する「共有地と地上権」は重要な問題になりますので注意しましょう。
土地が「共有」の状態にあるとき、地上権はその「共有地の持ち分」の上に存続することが出来ない
という鉄則です。
土地が共有の状態、例えば土地を長男のAさんと次男のBさんとで相続したとします。この時その土地はAさんとBさんとで共有している状態になります。法定相続だったとして、他に相続人がいなければ土地の50%はAさんのもの、残りの50%はBさんのものになります。
土地を共有するといっても、それは板チョコを半分にパキっと割るようなものではありません。その土地のどこをとっても「50%はAさんのもの、50%はBさんのもの」という状態です。つまり、板チョコが実際には16粒のアーモンドチョコレートだったとして、全ての16粒のアーモンド部分は全部「50%はAさんのもの、50%はBさんのもの」という状態になっているのです。決して「8粒はAさんのもの、残りの8粒はBさんのもの」ではないのです。
…ということは、Aさんだけが地上権を設定した場合、地上権者とBさんとの関係がややこしいことになってしまいますよね?
そんな訳で、共有状態にある土地の上に地上権を設定する場合は共有者全員が設定者となって地上権を設定しなければなりません。
なお、当然ですが共有物分割をした後なら、自分の所有地に地上権を設定することは可能です。分割した後なら、板チョコは真っ二つに割れた後なので、完全に自分の物となった土地に地上権を設定しようがどうしようが、相方から文句を言われる筋合いも無い訳ですから。
これらの記事やニュースの特徴は、リニアにまつわる多くの問題点を隠したJR東海の詐欺的広報をそのまま調べもせずに無批判に報道を垂れながしている。これだけの宣伝力を、福島の復興ニュースになぜ注げないのか不思議である。
今日は、あまり知られていない「地上区分権」についての解説が、「民法ワンポイントノート」というブログに載っていたので、転載する。
民法上の地上権の意義から、問題とすべき「区分地上権」について、分かりやすく解説してあるので、リニア問題に疑問を持つ人たちは、必見である。
少々長いが、我慢して読んでほしい。
(2、「地上権とよく似ている「土地の賃借権」部分も重要ですが、ここでは、「区分地上権」部分だけ掲載しますが、ヤフウーで(「ワンポイントノート 制限物権その5 「地上権」)で検索するとその部分が見られます。
1:「地上権」とはなんぞや?
地上権とは、『他人の土地において、工作物又は竹木を所有するためにその土地を使用する権利』のことを言います。「地上権」という名前ですが「上空」に設定することもできますし、「地下」に設定することも可能です。
地上権が設定されるのはその性格上不動産だけですが、不動産の中でも土地だけが対象になります。まさか建物の屋根の上とか庭先・玄関先にこんなものを設定することはできませんしね。
地上権が設定されると、その土地を「使用収益」することができるのは「地上権者」ということになります。土地の所有者はその土地を「使用収益」することは出来なくなります。ちなみに、地上権や土地の賃借権等が設定されている状態の、所有者が使用出来ない土地のことを「底地(そこち)」と言います。底地の売買はだいたい通常の土地の売買価格の2~3割程度しかないと言われます。「買っても自分では使用出来ない土地」にはたいした価値が見いだせないということになるのでしょうね。
でも、地上権によって土地が自由に使えるとはいっても、所有権とは別の時限の話です。あくまでも「他人の土地」を使えるというだけの権利です。
3:地上じゃない地上権
ところで、地上権は地上…というか地表に設定するものが最もメジャーです。しかし地上権は上空の地上権とか、地下の地上権とかいうものも設定が出来るのです。「地下の地上権」とか、自己矛盾も甚だしいですよね^^;
上空に設定する地上権として判りやすいのは、「高圧送電線」のための地上権でしょう。他にも高速道路や鉄道の高架を敷設するためにも設定されることがあるようです。送電線や高架施設の場合、他人の土地の上を横切りたいだけなので、送電線や高架を支障しなければ土地の表面は他の用途で使われていても一向に構わないのです。例えば畑の上空を送電線が横切る場合などは、別に土地の表面に大根が植えてあろうが、ほうれん草が育っていようが全く気にしません。まあ、送電線にひっかかるような大根が育つようなことがあったら困りますが。
地下の地上権も、可能です。地上じゃないけど権利の名前が「地上権」なので、「地下の地上権」です。(笑)
判りやすい実例としては、地下鉄の敷設、地下道や地下街の建設等が挙げられます。こちらも、地下鉄を通すことが出来るなら、地表がどのように使われていようとも全く意に介しません。地下鉄の上にニンジンが植えられていようとも、白菜が育っていようとも、全く問題有りません。まあ、地下鉄の運行に支障が出るようなニンジンだと困るでしょうけども。
こうした地上権を「区分地上権」といいます。なお、特に「上空」とか「地下」とかを指定せずに地上権を設定した場合は、上空も地表も地下も全部地上権者が使用収益できる範囲となります。
区分地上権は、お互いに支障しない限り、複数の設定が可能です。例えば、送電線を通すための「上空の地上権」と、地下鉄を通すための「地下の地上権」はお互いに矛盾しません。また、地表に家が建っていても、送電線を通すのに問題が無いなら家を所有するための地上権も成立し得ます。地表が駐車場で、その上に鉄道の高架があり、さらにその上に高圧送電線が横切るような場所でも問題ありません。この場合は上空の地上権が2つになりますがこのような設定も可能です。
ただし、区分所有権を設定する場合は、すでにその土地に設定されている地上権や賃貸借権、永小作権等の権利者、あるいは抵当権者等の全員が同意しなければなりません。
(地下又は空間を目的とする地上権)
第二百六十九条の二 地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
2 前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。
第2項にある、「その土地の使用又は収益をする権利を有する場合」と、「これを目的とする権利を有する」とがポイントです。
「その土地を使用又は収益をする権利」とは、まさに地上権や永小作権、土地の賃貸借権のことです。例えば、上空に送電線を通すために上空の地上権を設定するとしたら、先に地上権などを持っている人は本来なら上空も全部自分で使用出来るはずのところ、その権利を他人に奪われてしまうわけですから、すでにいる権利者の同意が必要なことは言うまでもありません。
「これを目的とする権利」とは、「地上権を目的としている抵当権」とか、「地上権を借りている人」とかが該当します。地上権を抵当権の目的物にすることが出来ますが、この地上権も、「上から下まで全部利用できる権利」として抵当権を設定したであろう場合と、「上空に送電線が通っている地上権」とでは、もしかすると価値が違ってしまうかもしれません。(そして送電線が通れば価値が下がってしまうかも知れない!?)とすると、抵当権者の利益を害する結果にもなりかねないため、こうした人たちの承諾も必要だと民法は言っています。
そして、一旦承諾をしたなら、先に地上権の設定を受けた人であっても、後から設定された区分地上権を妨害するような事は出来ません。
例えば、地表から30メートル以上の空間に送電線を通すための地上権を設定するとして、地表に住宅を所有する別の地上権者は、その土地上に高さ30メートルを超える柱とか立てたりしてはいけません。ビルの建設とかも30メートルを超えてはいけないことになります。
4:共有地と地上権
地上権にはそれほど難しい論点は存在しませんが、先に挙げた「区分地上権」と、これから説明する「共有地と地上権」は重要な問題になりますので注意しましょう。
土地が「共有」の状態にあるとき、地上権はその「共有地の持ち分」の上に存続することが出来ない
という鉄則です。
土地が共有の状態、例えば土地を長男のAさんと次男のBさんとで相続したとします。この時その土地はAさんとBさんとで共有している状態になります。法定相続だったとして、他に相続人がいなければ土地の50%はAさんのもの、残りの50%はBさんのものになります。
土地を共有するといっても、それは板チョコを半分にパキっと割るようなものではありません。その土地のどこをとっても「50%はAさんのもの、50%はBさんのもの」という状態です。つまり、板チョコが実際には16粒のアーモンドチョコレートだったとして、全ての16粒のアーモンド部分は全部「50%はAさんのもの、50%はBさんのもの」という状態になっているのです。決して「8粒はAさんのもの、残りの8粒はBさんのもの」ではないのです。
…ということは、Aさんだけが地上権を設定した場合、地上権者とBさんとの関係がややこしいことになってしまいますよね?
そんな訳で、共有状態にある土地の上に地上権を設定する場合は共有者全員が設定者となって地上権を設定しなければなりません。
なお、当然ですが共有物分割をした後なら、自分の所有地に地上権を設定することは可能です。分割した後なら、板チョコは真っ二つに割れた後なので、完全に自分の物となった土地に地上権を設定しようがどうしようが、相方から文句を言われる筋合いも無い訳ですから。
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