菊人形
2018-11-01 | 日記
秋が深まり落ち着いて過ごせるようになってきた。鈴虫の合唱は続いている。
第70回 正倉院展開催中、平成30年10月27日(土)~11月12日(月)までらしい。
同時開催で「奈良春日野国際フォーラム 甍」前の公園に菊人形が置かれているのを新聞で知り、昔のあやめ池遊園地やひらかたパークの菊人形展が蘇り行きたくなった。会期は10月27日~11月4日(日)、切り花が新しい内にと思い先ずはこちらを優先した。
11月31日(水)
市内循環バスの窓から見た国立博物館の前は長蛇の列が延々と続いていた。菊人形開催はあまり知られていないようで、ゆっくり楽しみながら見て回れた。
テーマは「天平菊絵巻~文化・芸術の伝来~」で、菊の花3万輪が使われているそうだ。717年、第八次遣唐使として唐に渡った3人(阿倍仲麻呂・吉備真備・玄昉)の菊人形を遣唐使船に乗せ、周りは図案化した菊装飾で飾られていて、非常に華やかで綺麗であった。
下段写真左から3番目は今回の正倉院展で展示されている「兵螺鈿背八角鏡」(へいらでんはいのはっかくきょう)を、右端は正倉院宝物の代表といえる「螺鈿紫檀琵琶」(らでんしたんびわ)をそれぞれ菊花で表現しているそうだ。
(画像はクリックすると拡大する)
阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)は暴風雨に遭って帰国果たせず唐朝の高官になったまま帰らぬ人となった人だ。
百人一首で覚えるので皆んなが知っている「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に いでし月かも」は氏が日本を懐かしんで詠んだ歌。それで菊人形は三笠山(御蓋山)の方を向いているとか。。。。。
吉備真備(きびのまきび)は帰国後聖武天皇に重用されて、平城宮跡の方を、そして僧・玄昉(げんぼう)は法相宗(ほっそしゅう)を伝えた興福寺の方向を向いて置かれているそうだ。
会場を囲むネットは鹿が菊花を食べない様にする為で、鹿対策も含めてこのイベントが実現するまで3年かかったという。来年も又奈良の歴史上の人物を変えて作って欲しいなぁ~。。。。。
帰りは杖を頼りに駅までゆっくり歩くことにした。興福寺の世界遺産石碑まで来ると、足は自ずと中金堂に向いていた。 ※
実は先日行われた中金堂の落慶法要(平成30年10月7日~11日)中の10日の日、私は20日からの一般参拝を待てず中金堂の一部でも垣間見たいと来ていたのである。
お陰で屋根の鴟尾(しび)から五色の布が下がった美しい光景を見ることが出来た。ぜひ見たかった幡(ばん)も見れた。
式典中に撒かれたという散華が屋根に散りばめられていて、拾って片付ける人の姿があった。ご招待を受けて感激して帰って行かれる方の話を聞いて、さぞかし厳粛な素晴らしい式典であったのだろうと思っていた。
日にちが入り混じってしまうが、10日の写真をここに入れておこう。
話は ※ に戻って
興福寺の境内、五重塔周辺は中金堂の拝観に来た人でいっぱいだった。私も拝観を決めた。正面石段を上がると、神々しい丈六釈迦如来座像(1811年)と法相柱(「ほっそうちゅう」と読むらしい。高さ 約6.8m、周囲 約2.45m、インドや中国そして日本の法相宗の高僧14人が描かれている群青色の柱)が目に入る。
中金堂は奈良時代に藤原不比等が創建し、何回もの焼失と再建を繰り返した木造建築物だそうだが、今回301年ぶりに創建時と同じ規模(高さ約21m、幅約37m、奥行き約23m)で造られたそうだ。巨大建築故巨木の確保は国産だけでは間に合わず外国産木材も調達されたという。立派だなぁ~ すごいなぁ~。
ところで北円堂の特別公開(2018年10月6日~12月2日)中だと解って、足は頑張ってくれた。初めての拝観だった。なんと綺麗な八角堂であることよ!外観のみならず内陣も一歩踏み入ると胸がドキドキした。そして真近く見上げる力強い迫力のある仏様にも圧倒された。国宝の弥勒如来像や無著・世親菩薩像(むじゃく・せしんぼさつぞう)他すべて晩年の運慶が率いる運慶一門の作だそうだ。特別開扉の折には再度訪れてこの感動をもう一度味わってみたい。
南円堂 北円堂
菊人形見物だけと思って行ったのに中金堂や北円堂の拝観に繋がり、大満足して奈良を後にした。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
追って
11月8日(木)
正倉院展は夕方に行くと比較的スムーズに入館できる、と聞いたので出かけた。
今年の目玉は犀角かざりの僧侶の持ち物「犀角如意」(さいかくのにょい)だそうだが、私の目当ては弦楽器「新羅琴」(しらぎごと)と灯明の芯切りばさみ「白銅剪子」(はくどうのせんし)だった。
確かに長い孫の手の様な如意は何時間でも見続けていたい程素晴らしかった。パンフの説明文を引用しておこう。【僧侶が法会の際などに用い、威儀を正すための道具、掌の下方や柄には草花や蝶、鳥が表されている。犀角や象牙、水晶や真珠、金など貴重な素材をふんだんに用いた豪奢な如意だ。光仁天皇崩御の際に施入された「犀角如意一柄」とみる説がある。】とある。
それから聖武天皇ご遺愛の鏡、「平螺鈿背八角鏡」(へいらでんはいのはっかくきょう)や「玳瑁螺鈿八角箱」(たいまいらでんはっかくのはこ)それに「沈香木画箱」(じんこうもくがのはこ)等々、読むのも難しい素晴らしい工芸品であるが、昔の人の才覚に驚くばかりであった。そうそう刺繍かざりのくつや楽舞のかぶりもののかざり金具なども強く印象に残っている。それから風景を描いた山水図には墨絵の箇所もあったよな。
先日公園でみた菊の装飾の八角鏡を思い出し、成る程!と。。。。。
無事閉館午後6時までに見終える事ができた。そして帰りには中金堂の明かりに誘われて行ってみると、お堂は落慶記念にライトアップされ赤と青のLEDライト交互に包まれ暗闇に浮かんで見えた。夜間拝観も11月11日まであるらしかった。
偶然にもこのような場面に出会えて大変ラッキーだったよな。院展に写真は禁物で今日はカメラは不携帯、ライトアップのこの景色はしっかりと目に焼き付けておこう。
第70回 正倉院展開催中、平成30年10月27日(土)~11月12日(月)までらしい。
同時開催で「奈良春日野国際フォーラム 甍」前の公園に菊人形が置かれているのを新聞で知り、昔のあやめ池遊園地やひらかたパークの菊人形展が蘇り行きたくなった。会期は10月27日~11月4日(日)、切り花が新しい内にと思い先ずはこちらを優先した。
11月31日(水)
市内循環バスの窓から見た国立博物館の前は長蛇の列が延々と続いていた。菊人形開催はあまり知られていないようで、ゆっくり楽しみながら見て回れた。
テーマは「天平菊絵巻~文化・芸術の伝来~」で、菊の花3万輪が使われているそうだ。717年、第八次遣唐使として唐に渡った3人(阿倍仲麻呂・吉備真備・玄昉)の菊人形を遣唐使船に乗せ、周りは図案化した菊装飾で飾られていて、非常に華やかで綺麗であった。
下段写真左から3番目は今回の正倉院展で展示されている「兵螺鈿背八角鏡」(へいらでんはいのはっかくきょう)を、右端は正倉院宝物の代表といえる「螺鈿紫檀琵琶」(らでんしたんびわ)をそれぞれ菊花で表現しているそうだ。
(画像はクリックすると拡大する)
阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)は暴風雨に遭って帰国果たせず唐朝の高官になったまま帰らぬ人となった人だ。
百人一首で覚えるので皆んなが知っている「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に いでし月かも」は氏が日本を懐かしんで詠んだ歌。それで菊人形は三笠山(御蓋山)の方を向いているとか。。。。。
吉備真備(きびのまきび)は帰国後聖武天皇に重用されて、平城宮跡の方を、そして僧・玄昉(げんぼう)は法相宗(ほっそしゅう)を伝えた興福寺の方向を向いて置かれているそうだ。
会場を囲むネットは鹿が菊花を食べない様にする為で、鹿対策も含めてこのイベントが実現するまで3年かかったという。来年も又奈良の歴史上の人物を変えて作って欲しいなぁ~。。。。。
帰りは杖を頼りに駅までゆっくり歩くことにした。興福寺の世界遺産石碑まで来ると、足は自ずと中金堂に向いていた。 ※
実は先日行われた中金堂の落慶法要(平成30年10月7日~11日)中の10日の日、私は20日からの一般参拝を待てず中金堂の一部でも垣間見たいと来ていたのである。
お陰で屋根の鴟尾(しび)から五色の布が下がった美しい光景を見ることが出来た。ぜひ見たかった幡(ばん)も見れた。
式典中に撒かれたという散華が屋根に散りばめられていて、拾って片付ける人の姿があった。ご招待を受けて感激して帰って行かれる方の話を聞いて、さぞかし厳粛な素晴らしい式典であったのだろうと思っていた。
日にちが入り混じってしまうが、10日の写真をここに入れておこう。
話は ※ に戻って
興福寺の境内、五重塔周辺は中金堂の拝観に来た人でいっぱいだった。私も拝観を決めた。正面石段を上がると、神々しい丈六釈迦如来座像(1811年)と法相柱(「ほっそうちゅう」と読むらしい。高さ 約6.8m、周囲 約2.45m、インドや中国そして日本の法相宗の高僧14人が描かれている群青色の柱)が目に入る。
中金堂は奈良時代に藤原不比等が創建し、何回もの焼失と再建を繰り返した木造建築物だそうだが、今回301年ぶりに創建時と同じ規模(高さ約21m、幅約37m、奥行き約23m)で造られたそうだ。巨大建築故巨木の確保は国産だけでは間に合わず外国産木材も調達されたという。立派だなぁ~ すごいなぁ~。
ところで北円堂の特別公開(2018年10月6日~12月2日)中だと解って、足は頑張ってくれた。初めての拝観だった。なんと綺麗な八角堂であることよ!外観のみならず内陣も一歩踏み入ると胸がドキドキした。そして真近く見上げる力強い迫力のある仏様にも圧倒された。国宝の弥勒如来像や無著・世親菩薩像(むじゃく・せしんぼさつぞう)他すべて晩年の運慶が率いる運慶一門の作だそうだ。特別開扉の折には再度訪れてこの感動をもう一度味わってみたい。
南円堂 北円堂
菊人形見物だけと思って行ったのに中金堂や北円堂の拝観に繋がり、大満足して奈良を後にした。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
追って
11月8日(木)
正倉院展は夕方に行くと比較的スムーズに入館できる、と聞いたので出かけた。
今年の目玉は犀角かざりの僧侶の持ち物「犀角如意」(さいかくのにょい)だそうだが、私の目当ては弦楽器「新羅琴」(しらぎごと)と灯明の芯切りばさみ「白銅剪子」(はくどうのせんし)だった。
確かに長い孫の手の様な如意は何時間でも見続けていたい程素晴らしかった。パンフの説明文を引用しておこう。【僧侶が法会の際などに用い、威儀を正すための道具、掌の下方や柄には草花や蝶、鳥が表されている。犀角や象牙、水晶や真珠、金など貴重な素材をふんだんに用いた豪奢な如意だ。光仁天皇崩御の際に施入された「犀角如意一柄」とみる説がある。】とある。
それから聖武天皇ご遺愛の鏡、「平螺鈿背八角鏡」(へいらでんはいのはっかくきょう)や「玳瑁螺鈿八角箱」(たいまいらでんはっかくのはこ)それに「沈香木画箱」(じんこうもくがのはこ)等々、読むのも難しい素晴らしい工芸品であるが、昔の人の才覚に驚くばかりであった。そうそう刺繍かざりのくつや楽舞のかぶりもののかざり金具なども強く印象に残っている。それから風景を描いた山水図には墨絵の箇所もあったよな。
先日公園でみた菊の装飾の八角鏡を思い出し、成る程!と。。。。。
無事閉館午後6時までに見終える事ができた。そして帰りには中金堂の明かりに誘われて行ってみると、お堂は落慶記念にライトアップされ赤と青のLEDライト交互に包まれ暗闇に浮かんで見えた。夜間拝観も11月11日まであるらしかった。
偶然にもこのような場面に出会えて大変ラッキーだったよな。院展に写真は禁物で今日はカメラは不携帯、ライトアップのこの景色はしっかりと目に焼き付けておこう。