gooブログはじめました和!

写真付きで日記や趣味を思いつくまま気の向くままに。

日本一長いバス路線

2017-02-24 | 日記
桜の木の枝をよく見ると蕾が顔を出しそうで、庭のクリスマスローズも咲き始めて来た。まだまだ寒いけれど春の兆しを確実に感じる今日この頃。
「路線バス運賃 キャッシュバック キャンペーン」(平成28年12月1日~平成29年3月31日)に便乗して、二人は、紀伊山地の奥、日本一広い村、十津川村の"源泉かけ流し"を楽しもうと一昨日出かけてきた。

  2月22日(水)
大和八木駅11時45分発の「特急新宮駅」に何と60人ばかりの人達がそのバスを待っていた。当然座れない人達が20人程いて、ええっ!立ったままで4時間のバス移動はさすがにキツイ。心優しい男性が一人のお年寄りに席を譲ろうとされたところ、「いえ 大丈夫です。これは地元の生活路線で慣れていますので。」と言われた。特急バスと言っても高速道路を走るのではなく、いくつかの駅には停車する一日にたった3本の大切な移動手段なのだ。午前9時15分と11時45分と午後1時45分発である。
この人数に運転手さんも驚いて手配されたようで、五条からもう一台臨時が準備されホッとした。落ち着いて沿線風景を楽しめる気分になった。
         (画像はクリックすと拡大する)

この二台のワンマン 大型バス「特急新宮駅」(奈良22 き・2 90)(奈良22 き・2 88)は今月で廃止されるらしい。「それでは八木から新宮まで乗り通しておこう。」というバス好きの人達が偶然にも今日を選ばれたようだった。6時間30分の乗車を覚悟して来られたのである。
それに道中では、走るこのバスにシャッターを切っていた、撮り鉄ならで撮りバスの人の姿があちこちにあった。

奈良交通「八木新宮線」は紀伊半島を縦断するR168号線を八木駅から高田、御所、五条、十津川、熊野本宮を経て新宮駅までの166.9kmを走る。そもそもこの路線は2013年3月1日で運行開始から50周年を迎えたというから、もう54年間活躍しているのだ。
高速バスの様にドアは前方だけで補助席もあるが、車内には料金表示板があり、乗車時に整理券を取る様になっている。音声合成による観光案内も流れ、「次降ります」ボタンも押せる。
一般路線であると同時に観光路線でもあり、世界遺産登録資産(小辺路・熊野本宮大社・神倉神社・熊野速玉大社など)へ通じるほか、大塔温泉(五條市)、湯泉地温泉・十津川温泉(十津川村)、湯の峰温泉・川湯温泉・渡瀬温泉(田辺市)などの温泉地を経由するようになっているようだ。
走行距離・時間・停留所数に於いて日本一らしい。

勿論167もある停留所すべてに停まるわけではないが、五條バスセンター、上野地(谷瀬の吊り橋)、十津川温泉(十津川営業所)の3箇所では10分から20分程の休憩があった。
吊り橋が渡りたくなった。初めて渡った時は身体が震えてどうにも不格好でやっとこさ向こう岸へたどり着いたのだった。3回目となると今回は慣れたもので、更に今日は時間制限がありその気になって走って(!?)往復したよ。「20分で往復出来ますか?」「うぅ~ん・・・待っててあげますよ。」優しい運転手さんの言葉に励まされ、見事往復を果たし用足しも済ませ、ご迷惑を掛けずに願いを果たした。嬉しくて感激の停車時間であった。(笑)そうそうこの吊り橋の長さは297.7mでこれも日本一長いそうだ。
        

午後4時20分、十津川村温泉(十津川バスセンター)に到着。
予約旅館のお迎えの車で宿に向かう途中、「野猿」(やえん)の"ゴンドラ"を見た。渓谷に張ったワイヤーロープに取り付けられた箱に乗り、自力で綱を手繰り寄せながらスルスルと渓谷を渡るわけで、スリル満点の自然の遊び場だ。懐かしい!17・18年前のこと北山川の筏下りに行く途中で遊んだのだが、怖くて周りの景色を楽しむ余裕はあまり無かった記憶がある。今となっては楽しい思い出だが。(笑)

午後4時35分に「神湯荘」(かみゆそう)に着いた。いい時間である。
早速下駄をはいて外の露天風呂に行く。かけ流しのいい湯に一人のんびりゆっくりゆっくり浸かっていると、身体の芯までホカホカに温まって極楽気分、「遠路来て良かった!」と思えた。庭を歩いていると、一人の老紳士曰く「いいお湯でしたね。気持ち良かったですか。『美人の湯』、ホント さっきと全然違って美人になられましたよ!」「ホントですか?ありがとうございます。」すっかり気持ち良かったので、そう応えたものの・・・・・よくもまぁ~失礼な誉め言葉に腹も立てず我ながら寛大な対応だったと、苦笑。(笑)

ぷっくりお腹が大きい子持ちアマゴの塩焼き・川マスの刺身、ぼたん鍋、いづれも私には初めての食材で嬉しく、お酒がいっそう美味しかった。少し黄味がかったご飯は温泉で炊いているらしい。美味しい。シンプルで素朴でも満足満足。
      

ひと眠りした積もりがよく眠れて目が覚めたのは夜中。外は雨が降っていた。季節が良ければ熊野参詣道小辺路沿いの果無集落(はてなししゅうらく)まで行きたいところ、今回は見合わせるとして思い出作りに新宮まで行って日本一長い路線を制覇しようと考えた。
早起きをして、十津川バスセンターから八木行特急バスで十津川村役場まで6駅戻り、歴史民俗資料館と道の駅と2つばかり神社を廻り、午後1時5分発の新宮行特急バスに乗った。一日3本のバスも利用次第かな。雨はすっかり上がっていたので、歩き回るのに何の支障もなかった。

ひたすら山の中を走るバスは途中から貸し切り状態になって午後3時44分、定刻通り新宮駅に着いた。大型バスを走らせるのは確かにもったいないと思った。(既に昨年11月2日 13時45分に新車が八木駅から出発したそうだ。)

               

「やったぁ~!」心の中で大声で叫んでいた私。新宮駅近くに来てやっと家や車や人の動きのある普段の生活圏に戻ってきたよな。ドライバーさんに心からご苦労様と言いたい。八木駅9時15分発で、ココまで交替なしで6時間30分、細い曲がりくねった箇所も多い道をひたすら走って来られたのだ。最後にお願いして記念写真を撮らせていただいた。ありがとうございました。

帰りのJR紀勢線列車の窓から眺める太平洋の景色は想像以上に素晴らしかった。多気駅から近鉄線に乗り換えとなるのだが、折角なので松阪まで行って夕食を済ませ家路についた。こうして気まぐれの一泊二日のバス旅が思い出深いものになったのは2人の健康があってこそ、感謝である。
ちなみにこのキャンペーンを利用させてもらって、バス料金を計算してみると私の場合3400円+560円+2500円=6460円也を無料で乗せてもらった事になる。有り難いキャンペーンだった。

十津川村の源泉かけ流し温泉や世界遺産観光でこの路線がもっと沢山の人達に利用されるといいのになぁと心から思った次第。


嵯峨野トロッコの線路を歩く

2017-02-15 | 日記
優しくて強い花、寒さ厳しいこの時期に凛として咲く日本スイセンが先日8日に降り積もった雪で腰を折ったようである。残る1つの蕾も是非咲かせてやりたくて添木をしたところ元気を取り戻して嬉しい。
こんな調子で恐れていた寒さや雨の心配もなく嵯峨野トロッコ線路ウォークの日がやって来た。

  2月15日(水)
昨年5月、保津川下りに行く際に乗った思い出の路線である。JR嵯峨嵐山駅に午前10時20分集合。総勢43人、トレッキングシューズにリュック姿の皆さんのお顔は好奇心にあふれていた。
トロッコ嵯峨駅⇔トロッコ嵐山駅⇔トロッコ保津峡駅⇔トロッコ亀岡駅の全線(7.3km)を歩くのではなく、トロッコ保津峡駅➡トロッコ嵐山駅の2.4kmで、途中にある保津川橋梁の100mは軌道自転車で渡ることになっていた。

嵯峨は大好きな水尾「ゆずの里」に通じる場所でもあり、紅葉の頃には「をぐらやま みねのもみぢば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ 貞信公」で誰もが知る小倉山のある所であり、今日の乗り物、軌道自転車とは一体どんな自転車なんだろうとか興味津々、胸が弾んでいた。
10時25分、JR西日本山陰本線保津峡駅のホームに降り立った。ホームの両端がトンネル(保津トンネル一・二)で、下を見れば保津川が流れている。ドキドキしながら無人駅の改札を出て、山に沿う一般道路を歩いてトロッコ保津峡駅に向かう。赤い保津峡橋を渡って短いトンネルを越えて行くと、川に架かる長い橋(待合のあるプラットホーム)とトンネルが見える。感動的な景色である。
           (画像はクリックすると拡大する)

対岸にトロッコ保津峡駅が見えてきた。トロッコのオープン車両・リッチ号に乗って、「あの橋、歩いてみたいなぁ~」と思って眺めていた「鵜飼橋」を渡る。川の下流側と上流側を1枚ずつカメラに収めた。
先ほどのJR保津峡駅から15分ぐらいかな、階段を上ると簡素な駅舎に到着した。ホームには見覚えのある狸たちが一列に並び、見上げると鐘のなる木が立っていてほっこりする。
自動的に鳴る設定の鐘の音がタイミング良く、優しい響きを残して風に乗って青空へ消えて行った。

              

ところで、この線路歩きツアーは昨年から始まって今年は第2回目。嵯峨野観光鉄道の営業は1月&2月は休止して保線作業をされるそうで、この時期ならではの企画らしい。一方、保津川下り(亀岡から嵐山・渡月橋まで 約16キロ、2時間)は年中営業されているというので舟に出会えるのを楽しみにしていたが、さすがこの季節に物好きな人は居なかった。(笑)
 
下段写真左から2番目の写真、目の前の陸橋はこの線路が、平成元年(1989年)3月4日まで活躍していた旧山陰線の駅の名残。(トロッコ線はその2年後に生まれ変わって出来た観光線だそうだ。)
社長さんのご挨拶の後、一列に並んで「歩き」の開始であるが、さっそく目の前にある「清滝トンネル」に入る。全線に8ケ所あるトンネルで一番長い朝日トンネル(499,1m)に次いで二番目の496mだそうだ。トンネルを抜けて見上げると装飾の綺麗な坑門である。
説明を聞くとレンガの積み方は一段毎に異なり、上の段が長い・長い・長い、その下が短い・短い・短い、その繰り返しになっているイギリス式トンネルという物らしい。馬蹄形の上中央にはめ込まれている題額『瀧清』の字がとても素敵!  
              


「予定時間より少し早いのでゆっくりしてください。」と聞こえてきた。トンネルの中は懐中電灯持参で足元を照らしながら歩くのだが、ペースが少々早かったので転ばない様にと必死で歩いたよ。(笑)慣れた駅員さんや若い人には普通と思うが、観光客の安全の為にはもう少しゆっくり歩いたほうが良いはず・・・と一人納得しながら聞いていた私であった。(笑)

前方から軌道自転車なる物が走って来た。これに乗って約84mの保津川橋梁を渡るのである。
この橋はトロッコ乗車時に川の流れを左右に見る事が出来る唯一の橋で、通称『青橋』と言われているらしい。アーチ式鉄橋の橋台はレンガ造りで川の中に橋脚は無い。スゴイ!急流に脚が流される恐れがあるからだそうだ。
自転車と言っても足で繰る必要はなく、ただ座って景色を楽しんでいればよい訳で、あっという間の楽しみであったが、私は勿論皆さん子ども気分でとても喜んでいた。
         

「歩き」を再開して10分、振り返ると先ほどの『青橋』が見え、その向こうに「愛宕山」が見えた。山頂にある愛宕神社は私には長い長い石段が記憶に残る神社である。こちらは全国に900社もあるという愛宕神社の総本山で、火伏せ・防火に霊験があるらしい。愛宕山は私には、母を想って月輪寺(つきのわでら)参拝を目的に登った山であり、月輪寺のご住職に会えてお堂に上がらせて頂いた感激の山である。


凄まじい音がして見上げると、JR嵯峨野線を走る列車が勢いよく鉄橋を渡って行った。
左手高所に赤い鳥居が見えるのは現在のトロッコ軌道の安全運行を祈願して建てられた「大山神社」だそうである。少し行くと、この辺は山と川が接近していて、対岸の紅葉を照らすライトがたくさん並んでいた。紅葉の季節にはさぞかしきれいな景色が見られるのであろう。
アレ何?と思っていると、それは大山崎・長岡地区への水道の水源用の取水口だそうで、そうか・・・「川下り」ばかりが頭にあった私が現実に立ち戻った瞬間であった。
            

嵐山に近づいて対岸には旅館やリゾート施設の屋根が見えてきた。山の中腹に大悲閣千光寺の屋根と五色幕が見えた。千光寺は京都市街や比叡山や大文字山や東山三十六峰など見渡せる絶景スポットらしい。訪れた経験のある彼は笑顔でうなづいていたよな。
           

亀山トンネル(約221m)の入り口に来て、一休み。たっぷり時間があったのでこちらのトンネルのイギリス積みが確認できた。
トンネルを抜けるとそこは嵐山駅のホームである。頂いた資料の通り、こちらの坑門にはフランス積みになっている部分もあった。即ちレンガが横一列に長い・短い・長い・短い・の繰り返しで並んでいるのである。
丁度トロッコ線のトンネルとJR線のトンネルが仲良く並んでいるのはまるで兄弟みたいだな。(笑)

沿線の景色を楽しむのは勿論、交換が必要な枕木に記されているサインを見つけたり、線路脇に佇む小屋(保線道具の収蔵庫)の色んな顔を見分けたり、普段侵入禁止の場所では何を見ても感動が起きた。
             

嵐山駅舎の庭でお弁当を頂いた。記念のカップには豚汁が入っていて、お茶よりも温かい心が伝わって来たよなぁ~。ごちそうさまでした。
その後、嵯峨野竹林の小路を通って野宮神社を参拝し、帰路についた。よかった、よかった。
                              おしまい。