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御蓋山登拝

2015-08-09 | 日記
今年は春日大社第六十次式年造替の年、記念行事として御蓋山(みかさやま)浮雲峰(うきぐものみね)に鎮座する本宮神社の特別登拝が行われている。
平素は入山の許されない御蓋山であり、写真にてぞ知る神社なので、申込みをしてこの日を待っていた。
春日大社は創建(768年)以来20年に一度社殿が造り替えられていて、国宝なので柱等はそのまま残され、傷んだ箇所の修復や屋根の葺き替えや朱の塗り替え等が行われるそうだ。

  8月8日(土)
昨日と今朝の食事には肉類や臭いの強いもの(ニンニク、ネギetc.)を慎み、精進潔斎のうえ参加となった。
春日大社の車舎(くるまやどり)で説明を受けて、頂いた法被や鉢巻を身に付け、お祓いを受けた後、虫除けスプレーをかけて貰って、杖をお借りして午前9時、いざ出発。
緊張しながらも普段とは違うワクワク感があった。

先ずは世界遺産春日大社の摂社・「水谷神社」(みずやじんじゃ)を参拝した。沢山の絵馬が積み上げられていたが、私には初めて訪れる神社であった。
ご神木であるイブキの巨樹はかなり傾いていたが、さすがに千年の歴史を感じさせる重みがあって神々しい。先端は枯死し、空洞の幹には杉が育ち、知る人ぞ知る「水谷神社の寄生木(やどりぎ)」と呼ばれているらしい。毎年4月5日には神社の例祭「鎮花祭」が行われ、神職の方々に依る禰宜座狂言・「水谷狂言」が奉納されるそうだ。

神職の方に続いて参拝者みんなで神拝詞を読み上げた。大祓詞(おほはらへのことば)はなかなか難しくて3ケ所ほど舌をかみそうになって、スラスラとついていけなかったよ。勉強勉強。そして、館で書いた人形(ひとがた)を作法して水谷川に流した。
          (画像はクリックすると拡大する)

「水谷道」と呼ばれる参道を大宮に向かい、御蓋山(標高297m)を仰ぎ見てから、四棟の社殿が並ぶ御本殿と神様が遷られている(2015年3月27日~2016年11月6日)御仮殿に参拝した。
それぞれの社殿に祀られている四柱の神様は、向かって右から第一殿・武甕槌命(たけみかづちのみこと)/第二殿・経津主命(ふつぬしのみこと)/第三殿・天児屋根命(あめのこやねのみこと)/第四殿・比売神(ひめがみ)だそうだ。〔撮影禁止〕
ふと思い出した。先日柳生街道を歩いた時(6月17日)に立ち寄った山口神社の境内に祀られていた「立磐神社」(たていわじんじゃ)の美しい社殿を思い出したのである。今、画像を取り出して案内板を引用してみると、《現社殿は春日大社享保御造替時に新造された本社本殿の第四殿を延享御造替時(一七四四~一七四七)に當地へ移譲されたものである。》とある。江戸時代、社殿は全て新しく造り替えられていたんだなぁ~。

いやいや、更に思い出したよ。円成寺に立ち寄った時(5月17日)だ。受付で聞いた話だが、「春日堂と白山堂は春日大社の旧社殿を拝領したもので、国宝です。云々」と。安貞2年(1228年)というから、もっと昔の鎌倉時代になるらしい。となると、こちらはは平安時代の社殿なんだよな。日記を繰ると画像が有った有った、綺麗な建物に感動して見とれていたあのひと時が、今又蘇る・・・・・

御仮殿では御簾にかけられた六面の御神鏡を間近に拝観できた。(二礼二拍一礼)
だんだん身が引き締まってきた。それから回廊を進んで、次は「若宮神社」の参拝である。そう、12月17日の盛大なお祭り・『春日若宮おん祭』がこの若宮神社の例祭である事は周知の通りであるよな。
                 

さて、いよいよ御蓋山へ
先ず鳥居の前で神職の方が神様に入山の許可を頂く祝詞をあげられてからの入山であった。
道なき道を登るわけで、山肌はシダが茂っている所もあれば、木の根っこがはびこっている所もあり、枯れ枝や倒木が横たわっている所有り、と決して楽な斜面ではない。「♪懺悔 懺悔 六根清浄♪」お腹から声を出したいと思うが、ハーハーとそれどころではない。途中で給水タイムの休憩も数回取って下さり、全員無事に本宮神社に到着できた。皆んなは満面の笑みを浮かべホッとしていた。
                 

都が飛鳥の藤原から奈良の平城に遷った頃、大宮の第一殿に祀られている神様・武甕槌命(たけみかづちのみこと)が遠く鹿鳴の国(茨城県鹿島神宮)から白鹿に乗って来られ、この御蓋山の頂きに降臨されたというのである。御蓋山の本宮社殿は近世になってから建てられたそうで、それまでは社殿の前の自然石で囲まれた10m四方の聖域で祭りごとが行われていたそうである。
扉が開けられ、再び神職の方に続いて皆んなで神拝詞を読み上げた。
ところで、この「神拝詞」のことを「しんぱいし」の他「かみをがむことば」とも読むそうで、神前で読み上げる事を奉上というらしい。初めて声にする祓言葉の最後「恐み恐み白す」(かしこみ かしこみ まをす)の詞に祝詞というものを初めて実感した次第。
一人一人の参拝が済むと登拝の所作は終わるのだが、なにやら清々しい気分になった。そして辺りにも和やかな空気が流れていた。
               

春日山遊歩道より下山、先日(5月17日)歩いたばかりで見覚えのある標識を目にしてちょっと懐かしく嬉しくなった。
茅葺の「水谷茶屋」の横をそして朱塗りの「水谷橋」を渡ると、例のイブキ(伊吹)・ビャクシン(百槇)の下をくぐって「水谷神社」に帰ってきた。
                             

12時半、春日大社境内に在る「神仙境」にて直会(なおらい)・中旬の献(ちゅうじゅんのこん)を頂く。
直会というのはお祭りで神様にお供えされた品(神撰)を頂戴する事だそうで、お料理は豆入りの白蒸しおこわ・お刺身・塩焼き魚・たたき牛蒡・なます・みかん・小豆あんetc.で御神酒も頂戴した。なんと美味しかった事!
    
解散後は登拝の感激に浸りながら参道をゆっくり歩いて一の鳥居を抜けて駅に向かった。今日こうして参加できた事に心から感謝。