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鳩にがし

2012-09-01 | 日記
斑鳩の里にある通称「ぽっくり寺」と言われている吉田寺(きちでんじ)の行事・「放生会」に行ってきた。
「放生会」は「鳩逃がし法要」とも「魚逃がし法要」とも言われ、本堂で戒を授けられた鳩や金魚が境内で放たれるというもの。
『命』を大切にする事を説く行事のようである。生き物をむやみに殺してはいけません。動植物の命をいただいて私達が生かされていることに感謝しましょうということかな・・・・・

昔、ご隠居様のお使いでこのお寺に来たことがあって、本堂に並んでいた沢山の木魚をみてびっくりしたのを覚えているだけだが、今日は改めて自分の意志で友人とここに来たのである。
山門をくぐると先ず目に映る青竹にハッとしてすがすがしい気持ちになり心が鎮まった。

本堂にお参りをした後「鳩にがし」迄には時間があったので、「福引券・お抹茶券、冷やし笹そうめん券」1000円也を買い求め離れのお座敷で頂戴した。近頃お抹茶を点てる心の落ち着きも忘れて過ごしていたので、今日は久しぶりに抹茶のお味を楽しませてもらった。冷たい喉越しのお素麺に一瞬暑さを忘れることが出来た。福引は2等賞で赤い小さな木魚の土鈴が当たりとても嬉しかった。
       (画像はクリックすると拡大する)

多宝塔に安置されている秘仏の大日如来像が今日はご開扉で拝顔できたのも嬉しかった。ちなみにこの美しい多宝塔と本堂のご本尊・金色鮮やかな大きな阿弥陀如来坐像(藤原時代後期)は国の重文だそうだ。

本堂は江戸時代に建て替えられたというが旧のお寺に使われていた鬼瓦なのだろうか?鐘楼の周りに置かれていた瓦がおもしろい。
鐘楼の鐘が7回打たれると「放生会」の作法が始まり、本堂での勤行が済むと鳥かごに入れられた鳩が境内に運び出された。辺りの雰囲気はお坊様の唱えられるお念仏で清浄な空気に包まれていた。。。。。
いよいよ鳩の放たれる瞬間がきた。お坊様は小さい子供達に「もっと近くにいらっしゃい!」と手を差し伸べて鳥かごの前に誘われた。子供達が紐を引くと鳥かごが開いて十数羽の鳩はバタバタと元気な羽音をたてて舞い上がった。
見物人は歓声をあげて空を見る。多宝塔の屋根の上を舞う鳩の白い姿は青空を背景にすばらしい景観であった。鈍な私はその素晴らしい一瞬をカメラで捕えることに失敗したが、2・3匹残った鳩の画像を見て想像したい。

行事のお役目を果した鳩は100匹とか。事がつつがなく運んでいく様子は穏やかで心に和むものがあった。お坊様のお顔も大変優しく感じた。
           

続いて山門を出て、方丈池に金魚200匹が放たれた。垣根越しにそれを見守る子供達。
世間では学校の“いじめ”で自らの命を絶つ子が増えているのが深刻な重大問題である。悲しいこの現状、きっと小さい頃からの教育が間違っているんだよな。少なくとも今日この行事に参加した子供たちは家族から命の大切さを教えられたに違いない。そして“いじめっ子”にはけっしてならないだろう。それだけでも幸せ家族のお手本ではないだろうか・・・・・

    


ぽっくり往生の寺」の看板を見て「いつかは必ず訪れるその日の為に自分も『ぽっくり往生』を願って、ゆっくりお参りに来ようね」と友人と話ながらお寺を後にした。
可愛い土鈴を机の上に飾って今日の日のしみじみとしたこの気持ちを忘れないようにしようと思う。
                             合掌