しいかのブックトーク

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将軍家御典医の娘が語る江戸の面影

2008-10-18 20:57:15 | こんな本読みました

32070869  安藤優一郎 著    平凡社新書

 桂川みねの語り書き、『名ごりの夢ー蘭医桂川家の娘に生まれて』の本から、江戸の終わりの様子を窺う。

 「みね」は、幕府の奥医師桂川甫周国興の娘で、経済的にも恵まれた家庭に育っている。

 父は、蘭医で、彼の元には、福沢諭吉、西郷隆盛、勝海舟、大隈重信、江藤新平、副島種臣など、幕末維新史に出てくる有名人が集っていた。

 母方は浜御殿奉行で、資産家。

 父と母の結婚は、なんと将軍の名指しによるもので、直に将軍の脈をとる奥医師は、高い地位にあった。

 住まいはいくつか変わるが、なんと浜御殿にも住んでいた。 浜御殿というのは、現在の浜離宮で、江戸時代は、将軍の別荘であった。

 「みね」の生まれたのが安政2年、12代将軍家慶の時代であり、14歳で幕府の滅亡を経験するのだ。

 こども時代の華やかで、趣のある江戸の風景を懐かしみ、それをきっかりと記憶にとどめている。

 新政府になると、みねの父は、職を失ってしまい、桂川家は苦境に立つのだけれど、新しい人生を歩み始める。

 安藤先生の本を立て続けに読んだが、これが一番面白く読んだ。

 安藤先生のブログは下記 ↓

http://www.geocities.jp/yu_andoh/index.html