2007年12月号の『文学界』はすごい。
この『ワンちゃん』と川上美映子『乳と卵』が一緒に掲載されている。
『ワンちゃん』は第105回文学界新人賞を受賞している。
2作とも、芥川賞候補になり、ひとあし先に川上氏が受賞。 そして、今回2度目の候補作『時が滲む朝』がめでたく芥川賞となったのである。
この号には、『東京キノコ』早川阿栗も載っていて、とても読み応えがあった。
『ワンちゃん』は日本に住む中国人女性で、一時期ファッションの仕事でお金を儲けたが、今は日本人と結婚して、中国人と日本人の結婚仲介の仕事をしている。
花嫁のきてがなく、中年のもてない男性や、相手側の若い中国人女性の思惑に興味深く、中国人の日本への見方など、面白く読んだ。
芥川賞にならなかった理由のひとつが「文章力」だったけれど、私には読みやすく、外国人がこれだけの文章を操れるのは、立派だと思う。