しいかのブックトーク

毎月読んだ本や日常の諸々を記録します。

欲しいのはあなただけ

2007-02-06 23:31:48 | こんな本読みました

Hoshiinoha  小手鞠るい 著    新潮社

 まあ、なんて刺激的なタイトルでしょ。 図書館にリクエストするのが、ちょっと恥ずかしかったです。

 恋愛小説の名手、るいさん。

 誰でも1回以上は経験するよね、恋愛のはじまりと終わり、それがすごくリアルに書かれていて、そうだそうだ、と思ってしまう。

 「男らしい人」との出会いと別れ、「優しい人」との出会いと別れ、そしてその間にある結婚も、淡々と静かに描かれていて、人が人を好きになる事、自分にあてはめて考えてしまうなあ。

 とっても普通の恋愛なんだけど、しみじみと考えます。


女流

2007-02-06 23:08:09 | こんな本読みました

Zyoryuu  関川夏央 著   集英社

 林芙美子と有吉佐和子。

 昔、授業で女流文学を選択して、林芙美子を学んだ時に小説を読んで以来、林の小説は読んでいない。

 有吉佐和子の小説は、「紀ノ川」「華岡青洲の妻」「悪女について」などを20代の頃に読んだ。

 関川氏は、この二人の私生活にぐいぐいはいりこんで、さまざまな角度から、人間性を浮き彫りにしている。

 林芙美子の男性遍歴、奔放性、放浪性、有吉佐和子の知的早熟性、旺盛な好奇心など。

 この本に『女二人のニューギニア』についての記述がかなり書かれている。有吉佐和子にとっては、異色のルポだったようだ。

 これを読むと、二人に興味を持つこと必須である。


親切なクムジャさん

2007-02-06 22:28:42 | こんな本読みました

Kumuzya  大石 圭 著    角川ホラー文庫

  韓流ブームはまだ衰えていなくて、私の周りの奥様方は、いまだに韓国ドラマと韓国スターにご執心。

 表紙カバーは、『チャングムの誓い』の主演のイ・ヨンエ。

 これは、最初に映画があり、それを大石圭が小説化したものである。

 私も最初に映画をDVDで観て、というか、DVD観る前に、このタイトルにものすごく惹かれて、気になって、気になって仕方がなかった。

 『復讐は、人間の本能』であるという。

 13年間無実の罪で刑務所にいた、美しい女の復讐劇。 読者は、当然主人公のクムジャに同化して、最後の胸のすくような復讐場面に満足感をいだく。

 しかし、クムジャさん、なんて緻密な計算で、ここまで復讐の計画を練っていたのか、その忍耐、努力に涙がでるほど感動してしまう。

 なんてひどい男、そうよ、これくらいやらなければ、気が済まない。 法的な制裁を待つことなしに、被害者(子供達)の親が、男を切り刻んでいく場面は、残酷である。

 映画と小説は若干違っていて、結末も違う。

 けれど、映画を観なくても小説だけで充分堪能できる。


功名が辻

2007-02-06 21:20:27 | こんな本読みました

Koumyou14  司馬遼太郎 著   文春文庫  1巻~4巻

 2006年NHK大河ドラマの原作。 つい先ごろ終わったばかり。

 私、司馬さんの小説は、初めて読みました。

 すごく読みやすいなあ、いかにも大衆小説、という印象です。

ドラマもときどき観ていました。

 山内一豊の妻といえば、良妻賢母の代名詞で、一豊が名馬を買いたい時、へそくりの金子10両をさっと夫に差し出したという話が、有名である。

 私も、是非、それにあやかりたいと、読み始めた次第。

 千代は、確かに賢夫人で、夫の身が立つように、いろいろ画策するけど、一豊もまた立派な夫でした。

 一生涯、千代以外の女性を求めなかったのだから。 この時代の男性にしては、珍しい事である。

 土佐の領主になってからは、話が駆け足で進んで、最後がちょっと物足りなかった。

 中年以後の、千代との落ち着いた生活をもっと読みたかった。