村上春樹/著
新潮社 上下
15歳の少年が、なにゆえに、突然旅に出るのか、理解できなかったのだけど、読み進むうちに、村上ワールドにぐんぐん引き込まれてしまった。
カフカっていうと、あの『変身』のフランツ・カフカを頭に浮かべるけど、読んでいくと、「カフカとはチェコ語でカラスの意味」とわかる。
少年カフカより、ナカタさんの物語に興味をそそられ、交互に書かれた物語を、ナカタさんの章だけ、先に読んでしまった。
ネコと会話ができるナカタさん。
けど、頭が悪いってわりには、よくしゃべるぞ。
戦時中に、小学生が集団で気を失ったという事件もありそうな、かつあやしげな話。
この小説に出てくる人は、みな、ドラマを背負っていて、饒舌である。
星野青年、大島さん、佐伯さん、さくらさん・・・。
でも、そうなのかもしれない。
誰でも、人生の主人公であり、たくさんの物語を持っているのだから。
ハッピーエンドでなく終わる、いやいや、終わっていない。
これから田村カフカの物語が、始まるのである。